【Expanding Story~まるがめの市民活動】がん患者もがんじゃない人もつながる。 香川労災病院 がんサロンつなぐ
| まちのヒト・コト
マルタスでは、市民活動登録を行う皆さんに、活動に対する思いやこれからのことなどをインタビューしています。
皆さんが行う「市民活動」とは何なのか?活動に対する「思い」とは?
それぞれの活動のスタート、これまで、そしてこれからをお伺いしています。
是非皆さんの活動や思い、踏み出した一歩をご覧ください。
今回は、「香川労災病院 がんサロンつなぐ」の國土さん、岩田さん、松永さんにお話を聞きました。
院内と院外のがん患者をつなげる場を
活動のきっかけをおしえてください。
新型コロナウイルスの流行中、患者さんが「がんのことを話せる友達が欲しい」ということをおっしゃっていたり、副作用で悩んでいる方が「ほかの人はどうしているのかな」ということを耳にすることが多かったんです。その時に、私たち医療者ではなく同じがんの体験をした人と同じような悩みを共有したいという気持ちが見て取れたので、私たちがその場を提供できたらいいなと思ったのがきっかけです。
市民活動登録のきっかけを教えてください。
2020年から新型コロナウイルスが流行し、感染対策として、院外の方を病院に来ていただき集まることができなくなり、約1年間がんサロンを休止せざるをえませんでした。その間、院内と院外をつなぐ方法はないかと考えました。オンラインで院内と院外をつなぐことができれば、サロンを再開できるのではと思案しました。
その際にマルタスさんを知り、雰囲気がすごく明るく、地域の方の居場所のような印象があったので、ぜひここで活動をしたいと思い相談に行ったのがきっかけです。
相談に来てくださったのは、いつごろですか?
2021年の夏ごろです。マルタスの市民活動相談カウンターにどんな場所を貸してもらえるのか、費用がどのくらいか、市民活動の活動自体がどういうものなのか、公的な病院が活用してもいいのかということをご相談に行かせていただきました。
イベントの参加者の方からの反応はどんな感じでしたか?
最初は参加者が0人で私たち2名が会議室にポツンといたようなこともありました。参加者を増やすために、マルタスのイベントの冊子やホームページなどの広報にご協力いただけたことで、1人、2人と来てくださるようになりました。そこから参加者とつながりが生まれ、だんだん増えていきました。
参加者の方の中には、ご本人ががんという方が多いのでしょうか。
もちろんご本人ががんの治療中や治療後という方もいますし、家族ががんの治療中という場合もあります。あとは、将来がんになった時のために学んで知っておきたいというお気持ちで来られた方もいます。
病院を出て何かをされることは斬新な一歩だと思うのですが、職員の方からはどんな声がありましたか。
やっている側としては、正直楽しかったです。私たちは院外に出るということが無いので、来てくださる方と院外で時間を共有できるというのはすごく新鮮でした。それに、マルタスの会議室は堅苦しくなくプライバシーは確保できるという感じなので、すごく活用しやすかったです。あと、パソコンやスクリーンなどの物品を貸していただけたので、IT機器についても勉強になりましたし、院内と院外をつなげるという目標も達成できたと思います。
より多くの人とつながる
病院でサロンをしていた時よりも活動が広がったと感じたことはありますか。
地域の方が、労災病院がマルタスで何かしているという感じでふらっと来てくださるので、病院が院外で活動しているというアピールにつながったと思います。
イベントに参加された方同士で仲良くなれたということもありましたか。
当院で治療されている方と他の病院で治療されている方が来ていて、病気の種類は別なのですが毎回顔を合わせていつも隣の席に座ってどんどん仲良くなって、がんサロンが終わった後に必ずマルタスのオープンラウンジでおしゃべりして帰るというような光景も見られるようになりました。がんサロンを通して友達ができたんだなとうれしく思いました。
それは病院の中では見られない光景ですか。
そうですね。病院の中では個人がそれぞれで治療して帰るため、患者さんと医療者のつながりだけという雰囲気ですね。サロンの場だとこちらから副作用の対処の仕方や医療費の助成などの情報提供をするだけでなく、参加者だけでお話する場を設けているので、患者さん同士のつながりが生まれていると感じます。今では、そちらの方が盛り上がっていますね。
オンラインでも開催されていたそうですが、オンラインでの参加者は何人いらっしゃったのでしょうか。
1回あたり1人か2人、多くても3人ほどでしたが、高松在住の方や、サロン参加者の県外の友達がZOOMで参加するということもありました。ZOOMでの参加人数自体は多くありませんでしたが、遠くにいる方ともつながれたと思います。
ハコカツの展示をする上で、こんな人に伝わってほしいとか、こんな風に発信していきたいというような思いはありますか。
がんという病気や治療に対してのマイナスなイメージだけじゃなくて、こういった支えてくれる場所、話せる場所があるんだということを、いろいろな方に知ってもらえたらいいなと思います。
これからの活動
今後どのように活動を広げていきたいとか、こんなことにチャレンジしたいということはありますか。
2人に1人ががんになるという時代になっていますので、他人事ではないと思うんですよね。もともとはがんの患者さんやご家族を対象にした活動なのですが、今はがんではない方にも、がんを知ってもらえるように情報発信をできたらいいなと思っています。また、がんの治療も変わってきて治療しながら社会生活をされている方がいっぱいいるので、そういった方たちが勇気づけられるような活動をできたらいいなと思っています。がんという名前がつくので参加しにくいかなとは思うのですが、マルタスは病院ではないので、たまたま来たという形で参加してくれたらいいなと思います。
これから市民活動をする方に対してメッセージをお願いします。
担当の方が相談の段階から企画まですごく丁寧に相談に乗ってくださったので、初めてやってみるという不安はありましたが比較的安心してスムーズに活動を軌道に乗せられたと思います。なので、ちょっと何かやってみようかな、やってみたいなと思ったら、マルタスを訪ねてみると力になってくれます。すごく安心して相談できる環境だったので、ぜひマルタスに行ってください。