レポート

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かがわ総文祭インタビュー

マルタスでは、”自分の好きなこと・やりたいこと”を実現するために活動する学生を取材しています。
高校生が創り上げる国内最大規模の芸術文化活動の祭典、第49回全国高等学校総合文化祭(かがわ総文祭2025)が、7月26日から31日までの6日間、県内各地で開催されました。
今回、総文祭の生徒実行委員会委員長である丸亀高校3年滝下さんにお話を聞きました。



好きなこと・やりたいことから一歩を踏み出す機会に。

総文祭にはいつから参加されていたのですか?

高校1年生の初めから3年生まで、ほぼ高校生活のすべてを総文祭に捧げてきました。
先生から「高校生は子どもから大人への移行期間」と言われていましたが、総文祭はまさにその成長を実感できる場所だったと思います。

総文祭に参加したきっかけはありますか?

もともと、学生が参加するさまざまなイベントに積極的に関わってきました。丸亀市が友好都市提携を結んでいる中国への交換留学イベントやドイツの留学生との交流会、昨年は学生主体の「丸亀大文化祭」にも参加しました。
私は舞台を見るのも、出演するのも好きだったので、「舞台関係を作る」と書かれた応募チラシに惹かれ、自分の“好き”を活かせることに魅力を感じました。
学生が主体となるイベントが好きで、参加することで自分のスキルアップにもつながると感じ、応募を決めました。

ちなみにどんな舞台が好きですか?

ジャンルは問わず幅広く観ています。ミュージカル、バレエなどのダンス、お笑いなども好きで、小学生の頃から劇場に通っていたので、舞台全般がずっと好きです。


総文祭での取り組み

総文祭での3年間はどんなことを行ってきましたか?

総文祭では主に4つ委員会がありました。
①総合開会式やパレードの企画、運営などを行う「開会行事委員会」
②おもてなし弁当のメニューの考案や、香川のグルメスポットやおすすめ観光地をまとめたパンフレットの作成などを行う「おもてなし委員会」
③国際交流事業の企画、運営を行う「国際交流委員会」
④PRイベントの企画・運営、広報グッズの制作、SNS での情報発信などを行う「広報イベント委員会」
私は3年間「開会行事委員会」に所属し、総合開会式の運営に携わりました。
監督さんと一緒に脚本や演出、舞台づくりを進め、出演者の管理や香川県内でのPR活動も行いました。マルタスでも場所をお借りして、総文祭の展示をさせていただきました。

滝下さんは主に、どんな取組みをされたのですか?

香川県と次年度の開催県の秋田県をPRする劇を企画・上演しました。香川の「さぬきうどん」と秋田の「稲庭うどん」をテーマに、方言を交えながら“うどんバトル”を展開しました。うどん学校での「うどん踏み」を参考に、音楽やダンスを取り入れた舞台を作りました。
舞台練習だけでなく、脚本・小道具・スクリーン用スライドなども全て自分たちで製作しました。
当日は運営スタッフとして出演者の案内をしながら、演者としても舞台に立ち、表方・裏方の両方に関わりました。


どうして、劇でPRすることにしたのですか?

例年はスライドを使って自分の県について紹介する形でしたが、「もっと楽しく伝えたい」という声があり、劇形式に挑戦しました。みんなが楽しめる紹介方法として、劇はぴったりだったと思います。


運営にも関わりながら、演者としても活躍されていたのはすごいですね。
両方を行って、総文祭に関わってみて気づいたことはありますか?

私が所属していた応援部では舞台に立つ側でしたが、今回の総文祭では、総合開会式の運営にも関わることができたことで、音響や照明などの細部にまで多くの人の手が加わっていることを知りました。舞台の裏にはたくさんの支えがあり、それぞれの力が合わさってイベントが成り立っていることを実感しました。

総文祭に取組む上で困ったこととかありましたか?

クラスよりも多い人数での活動だったので、チームをまとめるのが難しい場面もありました。でも、3年生になる頃には「言わなくても伝わる」関係性ができていて、最終的には一つの目標に向かう仲間としてまとまることができました。

在籍している高校生は香川県全域から集まった高校生なのですか?

そうです。出身の学校も全然違うし、人数の多い学校もありましたが、ほとんどの学校は2、3人程度でした。
学年も違ったので、本当にみんな会ったこともない子たちばかりが集まって活動していました。


総文祭を終えて

総文祭を通じて達成したこと、達成感があったなって思ったことはありますか?

総合開会式やパレード当日はとても暑く、体調面も心配でしたが、事故や大きなミスもなく無事に終えられたことが大きな達成感でした。
疲れているときこそ本音が出ると思っているので、そんな時でも周囲の士気を下げないように心がけていました。毎日仲間と話し合いを重ね、目標に向かって進めたことが達成感につながりました。

総文祭に取り組んでみて反省点はありましたか?

岐阜県の生徒実行委員と比べると、香川県の生徒実行委員は約半分の人数で運営したため、1人で複数の役割を担うことになり、出演者との関わりが少なくなってしまいました。
岐阜県開催時には、常にアテンドがいたのですが、今回は対応が難しく、待機時間が長くなってしまったことが心残りです。
また、秋田県の生徒さんとの練習はリモート中心だったため、ぶっつけ本番の部分も多く、もっと交流出来たらよかったなと思いました。


総文祭後も、委員会の皆さんとの関わりはありますか?

はい。卒業した先輩や一緒に頑張った仲間とは今でもつながっています。
毎日一緒にいたからこそ、学校外のコミュニティができて、夏休みに遊びに行ったり、先輩から良かったことについてフィードバックをもらう機会もあります。


今後の展望・後輩へのメッセージ

同学年だけでなく先輩までつながる機会になっているのは素敵ですね。
滝下さんとして、将来やってみたいことはありますか?

舞台関係の仕事に就きたいと思っています。総文祭での経験が将来に直結するものばかりだったからです。大学ではダンスを中心に学び、演者として経験を積みたいです。
香川県にはミュージカル劇団やスクールが少ないので、将来的には地元でスクールを開き、子どもたちが夢を諦めずに挑戦できる環境を作りたいと思っています。
丸亀に戻ってくる気持ちは強いです。

子どもたちの未来も考えてあげられることはすてきですね。
では最後に後輩に向けて一言お願いします。

私は総文祭を通じていろんな経験をさせていただいて、その上ですごく成長したと思っています。チャンスは待っているだけでは訪れません。言われたことだけをこなすのではなく、自分から飛び込んでいくことで、成長の機会が広がります。
勉強だけでは社会で役立つことは限られていると思います。人前に立つこと、自分の考えを発表する場を見つけて、やりたいことを具体的に考える時間を増やしていってほしいです。そんな行動こそが、自分を成長させる一歩になると思います。

▽開催中の様子