レポート

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【With Community】島をにぎやかにして、島民の生活を守る~本島コミュニティ

マルタスでは、住民が力を合わせて地域をより良くするために活動している丸亀市内の各コミュニティを取材しています。

丸亀市には、概ね小学校区を単位とした17の地域コミュニティが形成されています。
コミュニティは、地域にある自治会や老人会、民生児童委員会、PTAをはじめとする各種団体などにより構成されています。それぞれのコミュニティでは、地域の活動計画となる「まちづくり計画」を策定し、広報誌の発行、コミュニティまつり、環境美化、防災訓練、子育て支援などの事業を行い、地域の課題解決と、特色のあるまちづくりに取り組んでいます。


今回は、本島コミュニティについて紹介します。



丸亀港から北へ約11km海を進むと、塩飽諸島のほぼ中央に「本島」が、その少し南沖に「牛島」があります。
本島は、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康らに認められた塩飽水軍の本拠地として栄華を極めました。また、海運業の発展とともに船大工の技術も高まり、宮大工とともに江戸時代から戦前まで、塩飽大工衆と呼ばれる大工職人が岡山や香川で多くの神社仏閣、民家を建立しました。島の北東には、国の重要伝統的建造物群保存地区に指定された笠島地区があり、昔にタイムスリップしたような街並みの美しさはもちろん、塩飽大工の技術の高さを感じる建物を随所に見ることができます。
牛島は、周囲4.2kmほどの小さな島で、里浦と小浦の2つの集落があります。江戸時代には「内海の海上王」といわれた丸尾五左衛門の廻船の本拠地となっており、島に残る極楽寺には、ある伝説がある「無間の鐘」伝説の鐘が現存しています。

現在、丸亀市では「毎月20日航路運賃無料デー」を実施しており、島へと向かうフェリーなどを20日には無料で利用できます(旅客のみ)。歴史や文化、瀬戸内海の美しさを感じに、島旅を楽しんでみてはいかがでしょうか。

瀬戸内国際芸術祭の会場にもなる本島には、多くの人が島を訪れます。「本島ガイドクラブ」は、本島の歴史や文化、自然について知ってもらうために観光客などに詳しく島を案内する活動をしています。本島の魅力の発信と本島の歴史や文化の継承を目的としています。

活動拠点・本島コミュニティセンター
本島コミュニティセンターは、旧本島中学校を改修した建物で、本島港から徒歩約10分のところにあります。市民センター、コミュニティセンター、診療所の3つの機能を併せ持った施設で、令和4年8月に完成しました。



階段や教室、体育館など、学校の名残がいたるところに感じられる館内には、和室や調理講習室などを含む貸会議室があり、地域の皆さんの交流やコミュニティの活動拠点として利用されています。
また、2階の教室には、その昔まちで使われていたという古い農機具や生活用品が展示されています。その隣の教室には、過去に本島で開催された行事写真や当時の小学生が作ったという本島の大きな案内地図が掲示され、歴史や観光スポットがわかる場所となっています。



島ならではのコミュニティ活動

生活人権部会本島猟友会部
本島猟友会部では、島民の安全確保や農作物への被害を減らすため、イノシシを捕獲しています。令和5年度は本島だけで257頭ものイノシシが捕獲され、令和5年度イノシシ集中捕獲事業にて市長から感謝状が贈呈されました。

自主防災会
コミュニティで自主防災組織を設立し、消防団などとも連携した防災訓練を行うなど、住民の防災意識の向上を図っています。

本島大運動会



5月に開催されている保育所、幼稚園、小・中学校と地域の合同運動会は、保育所に通う小さな子から、おじいちゃん・おばあちゃんまでが参加する島民の一大イベントです。大人も子どもも関係なく盛り上がる企画で体を動かして楽しみます。一番特色がある競技はリレーです。「ガチリレー」と題し、小・中学生チームと教職員チームに加えて消防団や自治会長などの島民と警察官など島の走れる大人を混ぜたチームを結成して本気で競い合います。

塩飽本島合同文化祭



毎年11月の第一土曜日に開催されています。島民と子どもの作品展のほか、午前中は子どもたちの発表、午後は島民の舞台発表とバザーがあります。島全体が盛り上がるイベントです。

海岸清掃



学校と地域が合同で、海岸付近の清掃活動を行っています。この活動は、島をきれいにして来島者をお迎えし、楽しんでもらいたいという思いで、例年、夏と3月の2回実施しています。

本島コミュニティのこれから

本島コミュニティでは、「島にたくさんの人を呼んで島をにぎやかにする」ことと「今島に住んでいる人が安心して今まで通り暮らしていけるようにする」ことの二つを大事にしています。
高齢化や島外への人口流出のために島のイベントや行事がやり通せない、生活に必要な定期船や消防車両が必要数を維持できない、などといった状況に陥ることのないよう、島民だけでなく、様々な関係団体や事業者の方々と連携して島のイベントを開催するなど、島にかかわる全ての人を巻き込んで島を盛り上げていきたいと思っています。

次回は、本島コミュニティで活躍する人物について紹介します。