レポート

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【With Community Person】それぞれの得意分野を活かし、まちをより良く~川西コミュニティの推し

マルタスでは、地域や住民のために尽力する丸亀市内の各コミュニティを取材しています。

丸亀市内には、概ね小学校区を単位とした17地区でコミュニティが組織されています。この記事では、それぞれのコミュニティで活躍する人物について、その活動や思いについて紹介します。

今回は、川西コミュニティで活躍する人物について紹介します。

岩崎正朔さん―川西地区地域づくり推進協議会会長



丸亀市連合自治会の会長でもある岩崎さん。2024年6月には全国自治会連合会会長に就任し、地域活性のためにさらなる活動を広げています。

防災活動に力を入れるようになったきっかけは何ですか。
私は過去に高知県室戸市に6年間住んでいたことがあります。その6年の間、台風や大雨を何度も経験しました。その経験を活かしたいと思い、防災活動に力を入れるようになりました。

香川県は他県に比べると防災意識が低いところがありますが、どのように活動を始めたのでしょうか。
まずは、仲間を集めることから始めました。地域の小中学校の運動会に行って若いお父さんお母さんに声を掛けたり、田んぼ道を走って畑仕事をしているご夫婦に声を掛けたりしました。そして、集めた皆さんと一緒に兵庫県淡路島の北淡町へ10回ほど行き、阪神淡路大震災を経験した方からたくさんお話を伺いました。まずは防災への意識を変えることが大事だと思ったので、徹底してやりました。

コミュニティで行っている防災活動について、具体的に教えてください。
地域では毎年避難訓練も行っています。地域をだいたい6か所にブロック分けし、避難所を設置していて、住民の方には一番身近な避難所に避難してもらいます。住民の中には、ヘッドライトを付けて避難されて来られる方や、持ち出し袋を担いで来られる方、近所のお年寄りをリアカーに乗せて来られる方もいます。実際に災害が起きたときを想定して、市役所に架空の避難指示を出してもらったり、訓練を夜間に行ったりと、リアルな訓練になるように心がけています。
また、現場を直接見て体験することが一番なので、コミュニティの方と共に被災地に行き、現地で炊き出しを行っています。過去には、東北や九州、岡山県倉敷市真備町に行って避難所で炊き出しを行いました。炊き出しは、普段から福祉施設や学校などで訓練をしています。

環境活動についても教えてください。
約5年かけて、フジグラン丸亀の東側にある「かわにし わくわく森林公園」を整備しました。伸びた竹を伐採したり不法投棄されたごみを取り除いたりしてきれいにし、新たに木を植えて遊歩道を整備しました。この森林公園では「こどもふくしセミナー夏休みおやこ防災ワークショップ」という防災訓練を行っています。

コミュニティのこれからの目標を教えてください。
他のコミュニティとも共通のテーマになると思うのですが、やはり小中学生や大学生など若い方に参加してもらいたいです。私は防災訓練や講師で大学に行くので、それをきっかけにコミュニティ活動に学生を呼びたいです。

岩崎シゲ子さん―防災伝道師



川西コミュニティの女性部に所属し、炊き出し訓練の際には調理を担っています。

今までの活動の中で一番印象的だった出来事について教えてください。
東日本大震災の時に、宮城県石巻市の高校に炊き出しに行ったのが一番印象に残っています。
炊き出しを行った高校で、避難されていた一人のおばあさんとお話をしたんです。おばあさんは、「私は娘夫婦が亡くなった」「向こうから歩いてきているあの人は、娘夫婦、息子夫婦が行方不明なのよ」とおっしゃっていて、それがものすごく辛かったです。
また、炊き出しをしていたらその匂いでたくさんの人が集まってきて、空の鍋を持って炊き出しに並ばれるんです。そしたら岩崎会長が「みんな何も食べられないんだから、分けてあげよう」と言って、並んできた人に何人分の量が必要かを聞き、その人数分の量の豚汁を鍋に入れてあげていたんです。そうすると、高校に避難していた人たちに渡す分の豚汁が無くなってしまいます。なので、急遽追加で豚汁を炊くことになりました。これには、普段の訓練の時から「応用を利かせる」ということを意識していたのが役に立ったのだと思います。何もないところでする、というのが訓練だと思います。

学校に訓練に行かれるとき、どんなことをされるのですか。
応急手当のやり方を教えています。災害時はトリアージが行われて、赤や黄のタグを付けられた重傷の方はすぐ病院に運ばれますが、緑のタグを付けられた比較的軽傷な方は赤や黄のタグを付けられた方が運ばれた後じゃないと病院で治療が受けられません。そういうとき、例えば手を骨折している人がいるとしたらどうすればいいか、ということを学生に考えてもらいます。そして、その場でできる応急処置として「三角巾がなければワイシャツ、ワイシャツがなければカーテンを使って両手を吊るして固定する。ギブスの代わりに新聞紙や段ボール、雑誌を使う」と教えるんです。教えるときは、子どもたちの興味を引くために「何もなかったら、先生が着ているワイシャツを脱いでもらって、それを三角巾にして手を吊ったらいいよ」というように面白おかしく言っています。

これからの目標を教えてください。
私たちがやっている炊き出しを、いろんな人に身に着けていただきたいです。
今の若い人たちは、炊き出しをしていたら自分が作っている料理に「美味しくできなかったらどうしよう」と責任を感じてしまうんです。そこで、私は「その材料も全部入れたらいいよ。うまくいかなかったら、シゲ子さんが入れたって言ったらいい」「シゲ子さんの責任で全部したらいいんだよ」って言うんです。そういうふうに覚えていったらいいと思います。

守家ひろみさん―防災アドバイザー



川西コミュニティの女性部に所属し、防災アドバイザーとして活動しています。

コミュニティ活動に参加するようになったきっかけを教えてください。

私はコミュニティ活動に参加して5年ほどになりますが、いい活動だと思うし皆さんが一生懸命されているので私も仲間に入れてもらいたいと思い、誘っていただいて参加することになりました。皆さんすごく力があって、よく勉強されているなと思います。私も学んでいくことが多いです。

活動をするモチベーションになっているものは何ですか。
私の根本にあるのは、ボランティア精神です。地域に住んでいるからには、退職したら地域に何かできたらいいなと思っています。お手伝いは一人ではなかなかできないので、みんなと一緒にボランティアできてうれしいです。

高橋義雄さん―環境部部長



電気工事士や大工として働いていた経験がある高橋さん。電気工事や重機の運転など、様々なスキルを活かして環境活動を行っています。

今までの活動の中で一番印象的だった出来事について教えてください。
岩崎さんと同じで、東日本大震災の時の炊き出しが一番印象に残っています。
私たちが炊き出しに行ったとき、県や市の名前は使わずに川西コミュニティの名前で行ったんです。だから、始めはなかなか信用してもらえず、夜も避難所の中には入れてもらえませんでした。ですが、炊き出しをして避難所の皆さんに振る舞っていると、避難所になっている高校の校長先生が徐々に私たちを信用してくれて、「夜は避難所に入って中で寝てくださいね」と言ってくれました。最初は辛かったんですが、こちらが一生懸命やっているとそれを見てくれて信用してくれるんだなと思いました。

活動をするモチベーションになっているものは何ですか。
私はものづくりが好きなので、環境活動に楽しんで取り組めています。だから、頑張れます。森の再生事業の時も、伐採した竹や木を使ってベンチを作りました。岩崎会長が、私の「ものづくりが好き」という性格を知っていてくれているので、とてもやりがいがあります。

これからの目標を教えてください。
これから年をとっても活動していきたいなとは思っています。環境部に90歳近い方がいらっしゃるのですが、毎朝旗を持って登校中の子どもを見守っているんです。あそこまで行けたらいいなと思います。


次回は、本島コミュニティについて紹介します。