【Expanding story ~まるがめの市民活動~】丸亀の文化を育む。WillMs丸亀
| まちのヒト・コト
マルタスでは、市民活動登録を行う皆さんに、活動に対する思いやこれからのことなどをインタビューしています。
皆さんが行う「市民活動」とは何なのか?活動に対する「思い」とは?それぞれの活動のスタート、これまで、そしてこれからをお伺いしています。ぜひ皆さんの活動や思い、踏み出した一歩をご覧ください。
今回は、「WillMs丸亀」代表の横山さんにお話を伺いました。

笑顔で暮らせる丸亀のまちに
活動を始めたきかっけを教えてください。
結婚して丸亀に戻った時にシャッター街が増えていて、活気がないというかすごく寂しい状態になっていました。そこで、もっと街が元気になって、たくさんの若い人たちが楽しんで笑顔で過ごしているような街が見たいと思い、2017年から活動を始めました。
WillMs丸亀はどのような活動を行っていますか?
WillMs丸亀では『着物を着る楽しさを若い人たちにも伝えること』、『架空の郷土料理、月菜汁(※)を本物の郷土料理にすること』を目標に掲げて、着物での街歩きの活動や丸亀城ナイトフェスタなどでの月菜汁の振る舞いなどを行っています。
※旧丸亀市の市制100周年を記念して作られたさだまさしさんの名曲「城のある町」。その3番の歌詞の中に出てくる架空の郷土料理のこと。

丸亀の架空の郷土料理『月菜汁』
新しい活動について考えていることはありますか?
美味しいもの、面白いものが出せるようにシェフの方に相談させていただいて、新しい形の月菜汁を改良しているところなんですが、今ちょっとうまくいかなくて少し停滞気味です。継続していく中で、自分の中でどうなのかなって立ち止まりながらやってきていたところがありましたが、この8年をいろいろ考えてみた時に、本当にその都度その都度で、面白いなって思えてきたというか。みんなでいろいろ、紆余曲折しながらやってきたことが、まあ面白いなって思えてきたので。もうちょっと楽しみながら続けていきたいと思っています。

城下町の風景を育む
着物の活動についてもお伺いしてもいいですか?
着物と城下町の景観というのはすごく合うなと思っていて、城下町の景観の中に着物の人が歩いているという風景が私たちで作れたらいいなって思って取り組んでいます。
丸亀にはすごく素敵なお城もあって、いい街なんですが、近代化しているというか、次々と古い建物も潰されて、駐車場になっていたり、マンションがたくさん建っていたり、城下町らしい風情が失われていっているなってすごく感じています。
お金がたくさんあれば、古い建物を自分が買って改修して、大事にしたりできると思うんですけど、そういうことはできないので。それだったら、住んでいる人たち、来てくれた人たちが、城下町の景色すてきだなって思える心が育めたらいいなと思っています。
具体的にどのような活動をされていますか?
着物で街を歩いたり、あとは撮影会を丸亀城の周辺で行ったりしています。撮影ポイントに行きながら街の中をご案内したり、一緒に楽しんだりできるような取り組みをしています。着物の着付けは、通町商店街の中に着付けや場所を貸してくださっている着物屋さんがあります。やっぱりそういう協力がないとちょっと難しい部分はありますね。

活動からのつながり
活動をされていて、嬉しかったことはありますか?
本当にいろんな方と出会うきっかけがあるっていうのがすごく大きいですが、その中でも月菜汁を笑顔で食べてくれている子や、着物の着付けをしたときにすごく喜んで興味を持って歩いてくれている子など、子どもたちの未来につながること、思い出になるような取組ができているんじゃないかなって思うことが、すごく幸せにつながっています。
つながりが増えていったというところで、どういったつながりが増えていきましたか?
私たちの場合は、マルタスや市の関係の方、通町などの丸亀にずっと住まれている方たちとのつながりがすごく増えましたね。
私は主婦だったんですが、やっぱり家でいたら全然知り合うことのできない方たちとどんどんつながっていくことで、社会の中での自分の存在意義を確かめるチャンスではあったと思います。
初めは主婦をやりながらも短時間のアルバイトを始めて、少しずつ社会の中での自分に自信が持てるようになって、もう少し何かしてみようかな、とそういうふうに自分の活動範囲が広がっていったと思います。
他の市民活動者の方々と何か一緒に活動をしたことはありますか?
今のところ市民活動者さんとは実現できてないので、計画を練っていけたらいいなと思っています。活動者ではないのですが、2021年7月、「丸亀城宵あかり」と題して、マルタスと一緒にイベントを行いました。元々は夏の浴衣のイベントとして、昼の暑い最中だけではなく、夜まで楽しめるイベントにしたいと考えており、それをマルタスの初代センター長に相談させていただきました。センター長は元々大学時代に竹明かりのイベントのボランティアをしていたそうで、すぐに「やってみましょう」ということでお返事をいただき、開催することになりました。
「丸亀城宵あかり」はどんなイベントを行ったのですか?
いろんなコンテンツを散りばめてやりましたね。通町の中のお店に声をかけて、浴衣で来た人に特典をつけたり、写真撮影サービスだったり。あとうちわを持って歩いてもらえたら、すごく丸亀の宣伝になるんじゃないかなと思い、伝統工芸士さんにご協力いただき、うちわ作りのワークショップも行いました。
商店街で楽しんで、マルタスまで歩いてもらって、明かりを見てもらう。飲んで見て、また飲みに帰るみたいな。そんなイベントを行いました。
やっぱり集客の方法がすごく難しかったんですが、マルタスにSNSでの宣伝方法を教えていただき、勉強になりました。WillMs丸亀だけでやろうと思ったら、そういうふうにはできていなかったので、そこが任意団体として何か行うときの難しさかなと思います。


今の課題はありますか?
一番にぶち当たる壁は資金です。月菜汁をお城まつりで出店しようと考えていたんですが、出店するのに結構なお金がかかるんです。その出店料を当時、メンバーの会費として出していました。しかし、大きなお金が出てくると、続けられなかったり、メンバーを脱退する人もいたりして、お金の問題っていうのはすごく大きかったですね。利益を上げずにその中でやっていくっていうのがすごく難しいですし、みんなそれぞれに生活がありますから、人員など様々な課題が出てきました。
現在はその当たりも全部踏まえ、自分のしんどくない範囲でできるだけのことをやるっていうふうにちょっとシフトしていっている状態ですね。長く続けていただきたいので、細々とでもできることに、ありがたみを感じつつやっていけたらいいかなと思っています。
これからの活動で考えていることありますか?
月菜汁を本物の郷土料理にしていけるように取組を深めていきたいと思っています。
以前、とあるイベントで外国の方に月菜汁とおにぎりをセットでお出しした時に、おにぎりをお汁に浸しては「本当に美味しい」って全部召し上がってくださいました。国内問わず、月菜汁をもっともっと広めていけるように、そして郷土料理として「子どもの時におうちで月菜汁食べたよね」って思える存在になれるよう、取り組んでいけたらいいなと思ってます。

みんながハッピーに
市民活動についてどんなイメージですか?
私の中では自分の住んでいる地域の中で誰かの力になれたり、誰かのためになれるようなそういう活動をイメージしています。市民活動はそれぞれにやりたいこと、自分に刺さることが違うから、全ての人のためにはならないんです。
でも、本当に一人とか二人でも喜んでくれる人がいたり、誰かの元気や勇気、力になったり、少し明るい気持ちになってもらえたり、本当に些細なことでもいいから、誰かの気持ちに寄り添えていたらいいなっていうふうに思っています。
私も最初は何かすることで街を良くしようとかすごく大きな目標を掲げていましたが、それはすごく難しくて、「みんなの力になるって一体何なのか?」と、いろいろ模索している中で、最終的には本当に小さな元気を誰かと分かち合えればいいのかなっていうふうに思うようになりました。
最後に、これから市民活動を始める人に向けて一言お願いします。
ハードルが高く感じてしまう方もいらっしゃると思いますが、まずは自分がやりたいこと、自分がやってみたいって思うことに飛び込んでもらうっていうのが第一歩かなと思っています。登録までにすごく足踏みされている方が多いなっていうイメージですが、まず一歩動いてみたら、少しずつ広がっていくものがあると思いますし、自分が思っていたよりも、実は簡単にトライできるものです。つながりや可能性が広がっていろんなことが出来るので、あまり難しく考えずにトライしてもらえたらいいかな。そしたら自分もハッピーだし、周りの人もハッピーな気持ちになれると思います。
