「やっぱり丸亀っていいな」と思える故郷に。WillMs丸亀
| まちのヒト・コト
旧丸亀市の市制100周年を記念して作られたさだまさしさんの名曲「城のある町」。その3番の歌詞の中に出てくる架空の郷土料理「月菜汁(つきなじる)」を丸亀市で普及・定着させたいと活動するのがミス丸亀や丸亀市観光親善大使のOGで結成されたまちおこし団体「WillMs(ウィルミス)丸亀」です。また、城下町丸亀の景色を大切にしたいという思いから、着物や浴衣でのまち歩きイベントなどを開催し、城下町の風情を感じられるまちづくりや観光地としてのまちづくりにつなげる活動などをしています。
活動を初めて約4年。現在は、会長の横山純果さん、兵頭美季さん、岩崎りかこさんの3人で丸亀を盛り上げたいとの思いで奮闘されています。
今回は、7月に開催された「城下町と竹灯りを楽しもう!浴衣でまるがめ散歩」というイベントの後、横山さんに今までの活動や今後についてお話をお聞きました。
ミス丸亀から「WillMs丸亀」として活動
会長の横山さんは、熊本県出身。10歳のときに丸亀市に転入し、青春時代を丸亀で過ごしました。大学卒業後、坂出市の企業に就職し、その年に親戚の方の後押しを受け、「第18代ミス丸亀」に選出されました。
―横山さん
私はちょうど丸亀市の市制100年の年にミス丸亀に就任し、丸亀を多くの方々に知っていただけるよう、全国各地に赴き、丸亀の魅力をPRしてまいりました。現在、「ミス丸亀」は「丸亀市観光親善大使」と名前を変え、年齢や性別、未婚・既婚に限定されることなく、応募できるようになったほか、国内だけでなく国外へのPR活動を行うなど、活動内容は多岐に及んでいるそうです。就職して1年目にミス丸亀として活動していたので、この頃はとても忙しかったですが、いろいろな経験ができ本当にいい思い出です。
その後、結婚して仕事を辞め、10年くらいは夫の仕事の関係で各地を転々としていましたが、約7年前、丸亀に帰ってきて生活し始めて、自分が過ごした青春時代とは変わってしまった商店街や町並みを寂しく感じました。私は、県外に出て観光に対するイメージが変わったんです。というのも、「観光地」と呼ばれるところでは、それぞれの観光資源を有効に活用しているところが多いと思います。丸亀には、お城があって、城下町がありますよね。すごく魅力的な観光資源があるのに、それがあまり活用されていないし、PRできていないと感じました。
そこで、ミス丸亀の同期だったメンバーに声を掛け、「まちを元気に、観光地としてうまく機能するようなことがしていきたい」ということを市役所に相談しました。「ミス」として活動し、丸亀市をPRしていた経験を持つ人たちなら協力してくれるのでは・・・と思い、市役所を通して歴代のメンバーに連絡をとってもらいました。賛助会員として手伝ってもらう方などもいますが、現在の主要メンバーは3人です。
そして、活動スタート
「WillMs丸亀」という名前には、「未来」、「意志」などの意味を持つ「Will」と、女性で頑張りたいという思いを込めて付けられました。どんな活動をするか考えたとき目をつけたのが、さだまさしさんの名曲「城のある町」の歌詞に出てくる丸亀市の架空の郷土料理である「月菜汁」でした。
―横山さん
丸亀市の市制100周年を記念して作られたさだまさしさんの「城のある町」。この歌ができた年、さだまさしさんが香川県のホールでコンサートをされたときに、その舞台上で「月菜汁を作ってほしい」と言ったそうです。丸亀市がそれを取り上げて、市内の料理屋さんに月菜汁を作ってもらったことがきっかけで、居酒屋や料亭の締めの料理やコース料理の中に月菜汁を出したり、月菜汁のコンテストも行ったりもしましたが、あまり定着しなかったようです。「WillMs丸亀として何をするか」を考えたとき、その当時のメンバーが丸亀市の議員さんに「月菜汁をアピールしてみたら?」と言われて、月菜汁の定着について考え始めました。でも、正直いろいろなところで反対されたんです。今までうまくいっていないので、やるだけ時間の無駄と言われたり、しんどくなるよと言われたり。すごく悩みましたが、私は今までの人生でひとつのことを一生懸命長くやったことがなかったんですよね。それが自分の人生の失敗だと思っているんです。だから、大変なことでもまずは続けてみようと思い、月菜汁の普及に向け、活動をすることに決めました。そして今も続けています。
レシピは、いろいろ試行錯誤しました。基本的に地産地消で、地元の野菜を使うことにこだわっています。味噌は讃岐っぽく白みそなんですが、これもJA飯南加工グループのおばあちゃんたちが手作りで作ったお味噌を使っています。
そして、丸亀のお城まつりで月菜汁の屋台を出店しました。夜中まで野菜を切るなどして、すごく大変で、しんどかったという思い出です(笑)
月菜汁を思い出の味に
―横山さん
私がこの活動しようと思ったのは、自分には故郷と思えるところがあまりないと思うからなんです。生まれて10歳まで暮らした熊本は大好きですが、今は帰る場所ないですし、香川に越して来てからも、小さい頃からいたわけでは無いので、私がそこに入れてもらった感じがしていて。でも、丸亀に腰を据えて、子どもたちをここで育てていくとなったときに、このままではいけないと思いました。子どもたちに、自分たちの故郷がいいところだと思ってもらえるような場所にしていきたいと思うようになりました。今、丸亀にいる子どもたちが巣立っていっても、故郷として思い出してもらえるようなところであってほしいと思って。自分にとっていいものが人にとっていいものかはわからないので、その考えは自分勝手なところもありますが、でも、「やっぱり丸亀って良いな」と思ってほしいですね。
月菜汁もそれに通じると思っています。私たちは、月菜汁をお月見の時期に食べるものとして定着できたらいいなと考えて活動しています。月菜汁が普及することで、家庭ごとの味や見た目があるものになって、県外や海外にいたとしても、落ち込んだときやお月様を見たときに、「家族で月見汁を食べたな」とか、「お城のお祭りのときに食べたな」と、ふと思い出せるものになったらいいなと思います。
城下町丸亀で、着物や浴衣でまち歩きを
WillMs丸亀さんは、月菜汁を普及・定着する活動とともに、城下町丸亀の景色を大切にしていきたいという思いから、まち歩きイベントなども開催しています。直近では、7月17日(土)、「城下町と竹灯りを楽しもう!浴衣でまるがめ散歩」というWillMs丸亀さんが初めて主催したイベントが開催されました。浴衣を着て丸亀の町並みを歩き、夏の思い出を作ろうというイベントで、商店街では浴衣の着付けやカメラマンによる撮影、竹うちわのワークショップなどが体験でき、夜には、丸亀城を望むマルタス前の道路で竹灯籠の火を灯す「まるがめ城宵あかり」が行われました。大成功した今回のイベントですが、ここに来るまでにはたくさんの努力がありました。
―横山さん
約3年前、3月のひな祭りの頃に丸亀城で開催された「姫フェスタ」という市が主催するイベントに参加しました。これが私たちにとって初めてのイベントで、着物の着せつけして、写真撮影を行いました。これにプラスして、私はもともと商店街にも賑わいを取り戻したいと思っていたので、商店街のお店に声を掛けて、店舗特典をつけてもらいました。実は、WillMs丸亀を立ち上げたときに、私は、「シャッターを開ける会」に入らせてもらっていたんです。そこで商店街の方たちと交流を持ち、少しずつ仲良くなって、お話を聞かせてもらいました。そういった経緯があったので、商店街の方たちにも快く協力していただけたと思います。
そして、今回、初めての主催イベントを行いましたが、メインの会場が商店街とマルタスだったので、イベント中はとにかく行ったり来たりで大変でしたね(笑)一人では限界だったので、たくさんの方に協力してもらい、本当に助かりました。浴衣姿で街中を歩いてくれている方がたくさんいて、とても嬉しかったです。
イベントを開催するのは大変だけど、楽しいです。後先考えず、何にも考えずにしているからできるのかなとも思います。ただ反省点も多くあります。今回は、「通町テラス」と一緒に開催しましたが、もっといろいろな方とも協力していきたいと思います。また、運営費についてはネックになっています。今回は、県の補助金を申請して、受理されたので助かりましたが、こちらは実際にかかった費用の半額しかでませんし、補助金がいただけるのもイベントが終わってからです。イベントの費用をどう賄っていくか、どこまで負担するかを考えていかないといけないと思います。しっかり反省会を行って、来年につなげたいと思います。
人と人を繋げる
何事にも一生懸命、真摯に取り組む横山さん。今後の目標や未来について、意気込みを話します。
―横山さん
まずは、お月見の時期に、丸亀では月菜汁を食べることを定着させたいですね。また、イベントの内容についてもよりよくしていきたいと思います。いろいろな方と協力していきたいと話しましたが、お店、企業、団体、丸亀だけでなく、近隣の西讃地区のみんながつながって、お互いに良い所を認めあい、よりよくなって行けるような関係性作りができたらいいなと思います。誰もが明るい気持ちになれて、盛り上がり、楽しめるようなことをしていきたいです。人は、人との出会いやご縁などで人生の充実度が増していくと思うんです。その手段の一つとして、私たちが行うイベントなどで人が繋がっていけるような雰囲気作りができたらいいなと思います。
今まで、私は家族のために、家中心にやってきたと思います。それが当たり前になっていて、それも良かったと思いますが、最近、自分のやりたいことにも向き合って、「私の人生」だと思うようになりました。子どもたちは相変わらずかわいいですが、彼らは彼らで自分の人生を切り開いてくれると思います。お互いしっかりと、私は私の人生をちゃんと過ごしていきたいなと思います。
【編集部より】インタビュー中の横山さんのまっすぐな瞳が印象的で、言葉の一つ一つに力を感じました。ふとしたときに思い出して笑顔になれる故郷・丸亀だと素敵ですよね。より良い町をめざし、WillMs丸亀さんの活動は続きます。ちなみに今年の十五夜は9月21日。今年は、お家で満月を眺めながらほっと温まる月菜汁を楽しんでみてはいかがでしょうか。
【WillMs丸亀・Instagram】https://www.instagram.com/willms.marugame/
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