【Challenge for ESG】企業ノウハウ・仕組みを活用して、社会や地域とつながっていく。「大倉工業株式会社」
| まちのヒト・コト
マルタスでは、丸亀市で地域活性化を考える企業や地域貢献を行う会社などを取材しています。
今回は創立77年、丸亀市を支え続けて、今までの事業経験を駆使して、会社だけでなく従業員一人ひとりの社会・地域貢献も考えながら、会社全体として丸亀市のよりよい未来を目指す「大倉工業株式会社」についてご紹介します。
大倉工業株式会社の今までの貢献活動について、コーポレートセンター総務・人事部広報課の皆様にお話を伺いました。

大倉工業株式会社の成り立ちについて教えてください。
当社は、創業者である松田正二が第二次世界大戦後に「部下とその家族の生活を守るとともに、戦災で家を失った人々に必要な住宅を提供したい」という思いから、建築木材を販売する会社として現在の建材事業の基となる四国住宅株式会社を1947年に設立しました。
1955年には、包装材料などを取り扱う合成樹脂事業の先駆けとなるポリエチレンフィルム加工事業の展開を図るとともに、その事業をメインとすべく、社名を大倉工業株式会社に変更しました。さらに1987年には、フィルム製膜加工技術やプレス技術を応用し、付加価値の高い製品を開発するため、新規材料事業部を新設しました。現在、新規材料事業部では、液晶ディスプレイなどに使用される光学フィルムなどの高機能性フィルム製品を製造しています。今ではその3事業を主力として、暮らしに寄り添った製品を生み続けながら、経営ビジョン「Next10(2030)」のもと、お客様の価値向上と社会課題の解決に貢献し、事業を通じて、社会・環境価値を創出することを目指しています。

社会・地域貢献活動に取り組むことになった経緯を教えてください。
2022年に当社の取り組むべき重要課題として、「マテリアリティ」を特定し、さらに「事業継続のための基盤」を設定しました。これらを基にサステナビリティを経営戦略の中心とした活動を推進しており、ここ数年においては環境やガバナンス面だけでなく、社会奉仕活動や地域環境保護活動の推進、地域課題解決ビジネス、地域活性化ビジネスへの参画、地域資源の積極的な活用に注力しています。
現在、地域イベントなどへの協賛をするだけではなく、従業員自身も地域の活動に参加することで、積極的な地域社会への貢献活動を推進しています。

丸亀市ではどのような社会・地域貢献活動をされてきたのですか?
2023年にRSK山陽放送株式会社(以下、RSK)のSDGsプロジェクトに賛同し、『大倉工業株式会社スペシャルごみZEROクエストin土器川』を開催しました。このイベントには、従業員やそのご家族、市民の皆さんを含め、総勢約270人が参加し土器川河川敷の清掃活動を行いました。
その活動で使用したごみ袋についても、当社の環境貢献製品として認定しているダイオキシンの生成抑制に有効な『かんきょうくん®』や植物由来原料を使用し、温室効果ガスの削減が期待できる『OKバイオ®』を使用することで、ごみ処理においても環境へ配慮した活動を行いました。また、ごみ拾いSNS「ピリカ」を使用することで、拾ったごみの成果を簡単に記録・発信を行い、「だれが、どこで、どれだけのごみを回収したか」を見える化する仕組みにしました。

企業ノウハウも活用しながら街への貢献ができているのが素敵ですね。今後も継続されるために考えていることはありますか?
当社は、本社を置く香川県内に多く事業所を設けているので、各事業所の周辺地域で環境保護活動を行い、地域住民とのつながりを深める機会を創出したいと考えています。実際に、前述の2023年の『大倉工業株式会社スペシャル ごみZEROクエスト in 土器川』に引き続き、第2弾として2024年11月に『大倉工業株式会社スペシャル ごみZEROクエストⅡ&ワークショップ』と題し、当社の詫間工場がある三豊市で、名部戸海水浴場の清掃活動、ワークショップを開催しました。
当イベントでは、RSKから三豊市内の小学校にも呼びかけを行い、参加者を募ってもらいました。ワークショップでは、海ごみについて知見のある地元の方をお呼びして、参加者への海ごみについての啓発や生活にかかせないプラスチックが、ごみとして海に流れることで及ぼす影響について学んでいただき、また当社の製品及びSDGsへの取り組みについての紹介行った後、当社の位相差フィルム、偏光フィルムを活用した万華鏡づくり体験を行いました。街をきれいにするだけではなく、参加者に向けた清掃意識の活性化までを考えて行っています。これを1つの事例として今後も行えたらと考えています。

また、2022年に開催された瀬戸内国際芸術祭では、「企業ボランティアサポーター」として、瀬戸内海の各島の民家で展示されている芸術作品の受付業務を行いました。当社としても初めての参加で、外国人の方への対応や、芸術作品の専門的な相談などがあり、とても大変でしたが楽しかったのを覚えています。
2025年の開催についても社内でボランティアを募って参加を検討しています。

清掃活動の一つとして、『ひろえば街が好きになる運動』にも参加されているとお聞きしたのですが、どのような経緯で参加に至ったのですか?
きっかけは、社会福祉協議会様よりご紹介いただいたことからです。
初めのうちは、少人数での参加でしたが、社内への呼びかけの継続と従業員同士でも声を掛けあって「自分の街をきれいにしたい」、「街にどれだけのごみが落ちているかを知りたい」と参加者が増えてくるようになりました。街をきれいにするだけでなく、社内でも顔合わせたことのなかった従業員同士が『ひろえば街が好きになる運動』を通じてつながりも生まれています。活動に参加したことがきっかけで社内ネットワークも構築できるようになってきました。
多くの社会・地域貢献活動を行っていらっしゃるのですね。活動の中で課題に感じることはありましたか?
ボランティア活動へ参加してもらえる従業員を如何に増やしていくかという課題がありました。会社として、従業員が地域貢献活動に参加できる環境整備を推進するため、社内を横断したワーキンググループを2022年7月に設立しました。その中で従業員が活動に参加しやすくするための施策を考え、2023年7月にボランティア特別休暇(有給)制度を設けました。この制度を導入したことで、今では、300人を超える従業員やそのご家族がボランティア活動へ参加してもらえる状況になりました。
当社としても事業を行ううえで地域社会との関係性は欠かせないものと考えていますので、活動のつながりが将来的に事業へと発展していくことを期待しています。

実際に今まで活動してきて丸亀市の魅力はなんだと感じていますか?
地域住民とのつながりやすさ・強さは感じますね。そこには、マルタスのような人が集まる場所があることが寄与しているものと思っています。また、つながりやすさは人と人だけでなく、近隣の企業間にも感じられます。お互い街のために貢献したいという想いがあるので、共感から生まれる繋がりなのかなと感じています。

最後に、大倉工業㈱として、今後の活動はどのようなことを考えていますか?
まだまだ社会・地域貢献活動やボランティアに参加したことがない従業員がたくさんいますので、もっと活動に参加する従業員を増やしていきたいです。活動に参加する意味や魅力を伝えていき、会社全体として積極的に活動に参加できる組織になっていければいいなと思っています。