十人十色~風で描くアルコールインクアート~ 2021.12.1(水)~31(金)
| イベントレポート
12月1日(水)から31日(金)まで、「MariliaInk(マリリアインク)」の大井真里奈さんによる「十人十色~風で描くアルコールインクアート~」が開催されました。
「アルコールインクアート」とは、耐水紙の上にアルコールインクとアルコール液を垂らし、ドライヤーの風などで混ぜ合わせたり、広げたりしながら乾かし、偶然出会う色味やデザインを楽しむアートです。今回展示された大井さんの作品は、耐水紙にアルコールインクアートを描いたあとに、パネルに貼りつけ、アートレジンで加工するなどし、タイルのような質感を表現しています。
大井さんは、丸亀市出身。3歳からダンスを始め、舞台女優や歌手などの活動をしてきました。2020年5月には、丸亀市親善観光大使に就任し、そちらの活動と合わせて、アルコールインクアーティストとしても活躍されています。
今回は、アルコールインクアートに出会ったきっかけや、マルタスでの展示についてお話をお聞きました。
アルコールインクアートを始めたきっかけは何ですか?
私が最初に「アルコールインクアート」を見たときに、誰かが描いたものではなくて、大理石などの石なのかなと思いました。とても気になったので、「どういう作品だろう?」、「どこで売っているのかな?」などと調べていくと、誰かが描いたアートだと知り、私はもともと工作や絵を描くことが好きだったので「描いてみたい」と思いました。そして、アメリカで使われている12色セットのアルコールインクを見つけたので、それを取り寄せてしてみようかなと思っていたら、日本では358色もあるアルコールマーカーの補充インクを使っていることを知りました。それは漫画家さんが使うようなペンなので、例えば、紫色でもいろいろな種類があります。個人的に、ピンクや紫が好きなので、そのような色から集め始めて、やっていくうちにバリエーションが少なくなってきたので、ほかの色も集めていきました。
最初は趣味で楽しんでいましたが、2020年くらいから友人の結婚ラッシュで。コロナ禍で結婚式が延期や中止になる子も多くて、お祝いができなかったり、赤ちゃんが生まれてもなかなか会いに行けなかったりしました。そんな中で、何か喜んでもらえるようなプレゼントをしたいなと考え、アルコールインクアートを贈ることにしました。もともとペーパークラフトにも挑戦していたので、アルコールインクアートに新郎新婦が向きあったようなペーパークラフトを貼り、それをコーティングしてプレゼントしました。プレゼントした友人がSNSにアップしてくれて、友人の友人にと広がり、今の活動につながっていきました。
アルコールインクアートの魅力は?
アルコールインクアートは、2歳からでき、「みんな違ってみんないい」という世界があります。技法を知っている私が描いても、同じものは2枚と作れません。同じ赤色と青色を使っても、すごくきれいに色がでるときもあれば、混ざりあって紫色になることもあります。偶然出会う色味やデザインを楽しみ、個性を大切にするアートです。
子どもたちを対象としたワークショップをすると、それが顕著に表れます。茶色や黒を選び、シックなものを作る子や、できあがった作品を見て、「恐竜が口を開けているみたい!」と想像を膨らます子もいます。作品ができあがったあとに子どもたちに一人ずつ作品について発表してもらう時間を作るのですが、みんなが自分の作品が一番だと思い、キラキラした目で作品について話す姿がとても印象的で、すごいなと思いました。
逆に大人には先入観があるので、私の作品を見て同じように作りたいと作業して、最後に風を当てすぎ、「失敗した」と思われる方がいます。でも、子どものころに「人と違っていても自分が一番だ」と思えるような経験があれば、それもいいと思えるのではないかなと思います。私自身がそうで、周りに「何をしているの?」と言われることもありましたが、「私はそれでいい」と思えているので、アルコールインクアートには、そういうメッセージなども込められるなと思います。
活動の原動力はどのようなところから?
私は、人を笑顔にすることが好きで、3歳の頃から歌やダンスにチャレンジし、歌手や舞台女優として活動をしてきました。例えばミュージカルだと、約2時間はお客さんを異空間に連れ込むことができます。MCなどを行うこともありますが、「非日常を感じてもらう」ということを大事にしています。
それは、アートも同じで、私の絵を「きれいだな」と感じてもらえたら嬉しいですし、それを家に飾ることで見るたびに「頑張ろう」と思ってくれたら素敵だなと思います。
また、私は「人を笑顔にしたい」と思い、活動をしていますが、その笑顔を見て、「私が一番嬉しくなる」ということに気付きました。「人のため」が「自分のため」につながる、愛とか笑顔の循環だなと思います。
ミュージカルでも、アートでも、ツールが変わっても目的は変わらないのかなと思いますね。
大井さんの作品のテーマや題材はありますか?
2023年に上野の森美術館で開催される「全国選抜作家展」に、アルコールインクアート代表として出していただけることに決まりました。でも、たくさんのアーティストがいる中でなぜ私なんだろう?と疑問に思い、担当の方に質問してみると、「ポップな色合いの作品が多いから」と言っていただきました。確かに、「アルコールインクアート」で検索すると、淡い色に濃い線を描き、大理石のように描く方が多いんです。
私の作品は、色がパキッとしているものが多いです。自分の好みですが、赤なら赤みたいな感じが好きで。自分では意識していなかったけど、言われてみるとそうだなと感じ、そこがほかのアーティストさんとの違いだなと気付きました。
マルタスでの展示はいかがでしたか?
マルタスの作品展では、その違いを強みにポップに飾ろうと思いました。また、2階の学習席の近くの展示スペースということで、勉強を頑張っている方が、トイレに立つときにでも、私の作品を見て「よし、もう少し頑張るか」という気持ちになってくれたらいいなと思い、元気が出るような色ということも意識しました。感想を書いていただくノートを置いていたのですが、実際に「勉強の合間に見て元気をもらった」などと書いてくださった方がいて、とても嬉しかったです。
大井さんは丸亀市親善観光大使としても活動されていますが、そちらの活動を始めたきっかけについても教えてください。
幼少期からダンスを始め、平日は学校、放課後や休みの日はレッスンや、舞台などでの活動をするというような生活をしていました。大学卒業後、坂出市の歯科医院に勤めていましたが、東京での舞台のオファーをいただいて、上京しました。東京でも働きながらそういった活動を続けていて、2019年に小豆島で行われた舞台に出演し、東京と香川を行き来していたときに、コロナ禍となって。東京に戻るか、香川に残るかモヤモヤと悩んでいたのですが、その頃に丸亀市から親善観光大使のお話をいただきました。コロナ禍で、イベントができないので、これまでの大使とは違い、イベントがなくても丸亀の魅力を伝えられる活動が必要だと。そうして、私は歌って踊るし、相方の篠田綾香さんはシンガーソングライターで、という二人で活動が始まりました。
対面のイベントは少なかったですが、YouTubeの撮影や雑誌、ラジオ、新聞の取材などを行いました。本当はもっといろいろな活動をしたかったですが、なかなか難しいですね。
今後の目標はありますか?
やりたいことはたくさんありますね。今は、異業種でコラボして何かを作ろうという企画を立ち上げました。私は、きっかけが友人のウエディングだったので、そちらに特化したものを作りたいと考えています。さまざまな商品やグッズができたらいいなと思います。また、ワークショップ用の1回分のキットを作ればオンラインでも開催できると思うので、日本全国をつないでできたらいいなと思います。
【編集部より】「人を笑顔にすることが好き」と語る大井さんの笑顔がとても素敵で、そんな人柄も作品に表現されている気がしました。大井さんは、今後、アルコールインクアートのワークショップをマルタスでも開催する予定です。「みんなちがってみんないい」アートに、ぜひ触れてみてください。
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