レポート

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kuroma LIVEペインティング2021.7.1(木)・2(金)

香川県在住の抽象作家 kuromaさんによるLIVEペインティングが、7月1日・2日、マルタス1階のオープンラウンジにて開催されました。
kuromaさんは、丸亀市と関係が深い猪熊弦一郎さんの作品に衝撃を受け、大学で油彩を学びました。21歳から本格的に作家としての活動をスタートし、2019年の瀬戸内リトリート青凪文化芸術祭でのLIVEペイントや、直島など香川県を中心にさまざまな場所で個展を開催しています。最近では、善通寺市にあるボーリング場の巨大なウォールアートや四国水族館でのライブペイントなどが話題を集めました。
今回のLIVEペインティングの期間は2日間。マルタスのオープンラウンジに用意された高さ3m、幅3.2mの壁面に絵を描いていただきました。
2日間に渡って作品を描かれる心境を、制作前と完成後にお話を聞きました。

【描き始める前のインタビュー】

■猪熊弦一郎さんに影響を受け、絵の勉強を始めたと伺いましたが、kuromaさんは猪熊さんのどのようなところに魅力を感じていますか?

-kuromaさん
人格者すぎるところです。猪熊先生の作品はどれも柔らかくて、全ての発想が優しいなと思います。笑顔もとても素敵で、私は猪熊さんに恋しているんです。いつも新しいことをしていて、穏やかな気持ちになれる作品を描けることに憧れています。
MIMOCAには、一人でプラっと行きますし、コロナ前は、県外の友だちが遊びに来たら紹介していました。私にとっては、香川県で一番のスポットです。



■猪熊さんの話をするkuromaさんは、キラキラと恋する少女のような目をしていますね。(笑)そんな憧れの猪熊さんを少し感じられる丸亀で、初めての制作ということですが、今回の意気込みは?

-kuromaさん
まずは大きな作品なので、脚立から落ちないように気を付けたいです。(笑)というのは冗談で、本当に緊張しています。猪熊先生に影響を受けたと勝手に発信していますが、絵というより思想に憧れています。憧れの人に少しでも近づけるように、そして自分の作品に新しい発見を作りたいです。

■絵を描くとき、大切にしていることはありますか?

-kuromaさん
絵を描くとき、というよりかは、“日々の生活を大事にすること”を意識しています。仕事とプライベートはどちらも大事ですが、そのバランスをとることが一番大切だと思います。朝食に美味しいパンケーキを食べるとか、そんな小さな幸せをつくることで、優しい絵が描けたり、逆にピリピリしているとそれが絵に現れてしまう気がします。また、自分の中でハマっていることや興味のあることに、「それが何で好きなのか、なぜそれがいいのか」を考え、そのものの魅力に向き合うようにしています。



■バランスがとれると、仕事もプライベートもいい方向に進みますよね。今回の作品のテーマなどは考えていますか?

-kuromaさん
いろいろ考えていたんですが、昨日下見に来たとき、場所と紙質を見て、「色鉛筆を使ってみよう」と思い、赤鉛筆を持ってきました。“自分が童心に返ること”をテーマに、取り組みます。「LIVEペインティング」とは名前がついていますが、あまり派手な演出はないので、「公開制作」という感じになると思います。マルタスを利用している方にも気軽に話しかけてほしいです!

【描き終わった後のインタビュー】

■2日間、お疲れ様でした。どのような思いで描いていましたか?

-kuromaさん
今回の丸亀での制作が、人生で一番緊張しました。たぶん、猪熊先生の顔に泥を塗りたくないという不安と、丸亀市の方は猪熊先生の美術館に行ったことのある方が多いと思うので、私の尊敬するアーティストの作品を見たことのある方たちだと思うと、より緊張しました。つまりいい格好がしたかったのだと思います。でも、結局そんなものは無駄だと感じて、本気を出して描きました。“少しでも猪熊先生の思想に近づきたい”という思いで、自分の置かれた状況を楽しんで描けたと思います。



■そんなに緊張されていたんですね。作品に込めた思いを聞かせてください。

-kuromaさん
“見たい人には見えて、見たくない人には見えない”恩着せがましくないような線を描こう、と思って描きました。もうひとつは今回の作品に対して上向きな気持ちで描けたと思います。私はその時々で、自分の感覚を大切にしています。上に伸びる葉っぱや、細くて揺れているものに最近は惹かれていたので、今思えば、その感覚が今回の作品に反映されているのかもと思います。



■見る人によって、さまざまな見方ができることは素敵ですね。作品名などはありますか?

-kuromaさん
作品名はありません。私も作家活動を始めた頃は作品に名前をつけていたんですが、作品名は絵に後付けしたものなんですよね。特に抽象画は、人は作品名から入ってしまうことが多いんです。後付けされた文字(作品名)を頼りに「これはこういうものなんだ」と思ってしまうことは、その先に感じられるもっと“いいもの”に気づけないと思い、作品名はつけなくなりました。でも、強いて言うなら、今回の作品は「猪熊弦一郎にちょっとでも近づけたかなぁ?」というタイトルにしたいです。ユニークだし、本当にそういう気持ちです。



【編集部より】kuromaさん、2日間ありがとうございました。アーティストによる制作の過程を身近で見られて、そしてさまざまなお話をお伺いすることができる機会は本当に貴重でした。今回の作品は、9月30日(木)までオープンラウンジにて見ることができます。見る人によってさまざまな印象を抱く素敵な作品です。一人ひとりの解釈で、kuromaさんの世界を楽しんでみてはいかがでしょうか。



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