【Challenge for ESG】空き家を利活用して居場所をつくり、帰りたくなるふるさとをつくる。「株式会社 山倉建設」
| まちのヒト・コト
マルタスでは、丸亀市で地域活性化を考える企業や地域貢献を行う会社などを取材しています。
今回は創業43年、空き家の利活用や古民家再生など、建築に関わることを中心に地域貢献活動を行う「株式会社 山倉建設」について紹介します。
株式会社 山倉建設の今までの地域貢献活動について、山倉建設創業者であり会長の山倉康平さんにお話を伺いました。
山倉建設を創業するきっかけを教えてください。
家づくりに携わるきっかけになった出来事は、私が小学5年生のころ、父から住む家を建てると聞かされたことです。嬉しさのあまり、手を上げ万歳した記憶が今も鮮明に残っています。家族の絆が深まり工事が始まると毎日現場に足を運び完成までワクワクした思い出が、私の家づくりの原点です。
地域貢献活動に取り組むことになった経緯を教えてください。
現在日本では、空き家の増加と高齢化、少子化が進んでいます。このような社会課題の中で地域のコミュニケーションや関係性が希薄になってきています。
少しでも社会の課題解決の一端になり、少しでも住みやすい地域に貢献できるよう、地域のふれあい場として、コミュニティ施設『どろんこ亭』を空き家解体現場から古材を利活用して建設するところから始まりました。
現在各所で空き家が増加中です。地域にある空き家というものは地域の人が一番よく知っています。これらの空き家をすこしでも多く利活用できれば空き家が地域の人の憩いの場となったり、防災住宅や多様な利活用で世代を超えたコミュニケーションを取れたりするようになるのではないかと考えています。そういう意味で、『どろんこ亭』が空き家の利活用方法の一つとして広まってほしいなと思っています。
空き家の利活用や古民家再生の活動について教えてください。
『どろんこ亭』は、もともと資材置き場だった場所に解体現場で出た廃材を再利用して建てたコミュニティ施設です。
高齢化が進むと、若者が高齢者を支えるという今の構造では生活の厳しさが増します。
ご高齢の方が元気で健康長寿でいれば、逆に高齢者が若者を支えることができる世の中を作ることができると思うのです。
では、そのためにどうすればいいのか、ご高齢の方にはそれぞれご自身の特技を生かした活動をしたり、その一例として子どもとコミュニケーションを取ってもらったり、活動の内容は様々広がると思います。ひいてはそれが生きがいになり、健康につながるのです。
『どろんこ亭』での例ですと、地元のご高齢の方の中に工作がとても得意な方がいらっしゃるのですが、子どもたちに大人気なんですよ。『どろんこ亭』は子どもの遊び場にもなっているので、共働き家庭の子どもの行き場づくりにもつながっています。
また、『どろんこ亭』はご高齢の方と子どもがコミュニケーションを取ることができるという点で防災にもつながっています。一人暮らしをされているご高齢の方は、いざという時に避難するのが難しく、周囲の人の力を借りなければなりません。しかし、普段からコミュニケーションを取っていないと「おじいちゃん大丈夫?」「おばあちゃん大丈夫?」と声を掛けられないですよね。そういう意味でも、『どろんこ亭』を地域がもっと交流して助け合えるような場にしていきたいと思います。
『金倉苑』は、築約110年の古民家を一部リフォームした宿泊施設です。私は全国古民家再生協会香川第一支部の支部長をしており、空き家のリノベーションに関わる機会が多いのですが、日本の木造住宅というのは技術的に世界一と言っても過言でないと思います。
昔の大工さんがカンナとノミを使って建てる方法は、一度取り壊してしまうともう二度と再現できません。この伝統技術は地域の宝で、残していくべき大事な住まいの文化財です。
また、今現在、全国的に宿泊施設が足りない状況にあるのですが、香川を訪れた外国人の方(約50名)にヒヤリングすると、「ホテルよりも古民家宿の方に泊まりたい」という方が多いんです。“モノ”よりも住文化や生活文化といった“コト”を楽しみたいそうで、今後地域の祭りへの参加、農漁業体験型などを推進していこうと思います。
『NPO(一社)おたすけネットワーククラブ』は、『どろんこ亭』を拠点として、困っている方とボランティアをしてくださる方をマッチングするサービスを行っているNPO法人です。空き家をお持ちで管理に困ってらっしゃる方の空き家の管理や利活用に関する相談も受けていますが、それ以外にも家事支援や生活支援など様々なお困りごとに対応しています。立ち上げたのは14年前で、地域のために何かしたいというご高齢の方に地域のお困りごとを手伝ってもらいたいということで始めました。
山倉さん個人としてはNPO法人の理事もされていますよね。どのような活動をしているのですか。
不登校や引きこもりの子どもたちやその保護者を支援する活動をしています。目的は、不登校の子どもたちが安心して行ける居場所をいくつか作ることです。
不登校や引きこもりの子どもたちはそれぞれみんな違う事情を抱えていて、対処方法も子ども一人ひとりによって異なります。そのため、学校や家庭以外の居場所が様々なところに何か所か必要だと考えています。
活動の一環として、子どもたちを連れて讃岐広島に行きSDGs活動をするキャンプを行っています。海岸線のゴミ拾いや歴史探訪、不要な竹を使ったいかだづくりや、今年の夏には花火や魚釣りをしました。
スケジュールは大まかな流れだけ決めて、あとは子どもたちに何をしたいか決めてもらっています。自然の中でいると、子どもたちも解放感や自己肯定感が生まれるみたいで、何か吹っ切れたように元気になるんですよ。そういう環境を私たち大人が協力して作っていかないといけないと思います。
企業が社会や地域に貢献する活動によって、どのような効果が生まれると思いますか。
私は社員満足度が上がることで顧客満足度も上がると考えているのですが、それはつまり、社員が満足していなければ顧客を満足させることはできないということになります。自分を大事にできないと人を大事にできませんから。
今の若い人は生きがいを重視するような考え方に変わってきているので、社員満足度を上げるためには仕事=自分自身を高めるために動くことが重要です。
企業が社会貢献活動をすることで、それに関わる社員が様々な経験を通して心が豊かになっていく。幸せを感じるときは皆さん多少違っても役に立つことで「ありがとう」と言われるとうれしいもので、言われた方も「ありがとう」の気持ちが芽生えありがとうの共鳴が明るい世の中を形成していくと思います。
丸亀市の魅力的なところを山倉さんの目線で教えてください。
丸亀城を中心にコンパクトにまとまっているところが魅力的だと思います。香川県全体に言えることなのですが、コンパクトなので山でも海でも遊べて一通りのことを網羅できるのがとても良いです。
私は若いころ県外に住んでいた時期があるのですが、そのときに外から故郷を見てみるとやはり思い出がたくさんあって、たまに帰ると「ああ、帰ってきた」という気持ちになって落ち着くんですよね。今の子どもたちにも、丸亀のいろいろな場所で思い出を作って大人になったときにふるさと丸亀に帰りたくなってほしいと思います。


