【Expanding story ~まるがめの市民活動~】ふくしと人のつながりから考える市民活動。福祉works MANMARE
| まちのヒト・コト
マルタスでは、市民活動登録を行う皆さんに、活動に対する思いやこれからのことなどをインタビューしています。
皆さんが行う「市民活動」とは何なのか?活動に対する「思い」とは?
それぞれの活動のスタート、これまで、そしてこれからをお伺いしています。
ぜひ皆さんの活動や思い、踏み出した一歩をご覧ください。
「福祉works MANMARE」は、ふくしに関心を持つ人や福祉現場で働く人たちの交流機会を通じて、相互のコミュニケーションを図り、エネルギーを蓄える場とすることを目的に立ち上げられました。
今回は、「福祉works MANMARE」代表の丸畑 望さんにお話を伺いました。
「ふくし」と「つながり」と「市民活動」
市民活動登録をしようと思ったいきさつを教えてください。
―丸畑さん
私の仕事が福祉関係なのですが、香川県福祉人材センターが主催する福祉の職場説明会に事業所として参加することになりました。そこで、そのチラシをマルタス置いてもらえないか相談に来たことが最初です。そのときのチラシは、置くことが難しいとのことでしたが、その場で自分の想い、福祉や介護が非常に重要な仕事であるということ、だけど取り組む人たちが少なくなっているということをお話しました。そうしたらスタッフの方に「そんな思いがあるなら、市民活動という形で登録することができますよ」とお話をいただきました。そのときに初めてそういう方法があると知り、市民活動について考えるようになりました。
市民活動にはご興味があったのですか?
―丸畑さん
市民活動をしようという思いは全くありませんでした。ただその頃、ちょうどコロナ禍の終盤あたりだったのですが、コロナが自分自身や自分の周りに与えた影響というのは相当なものがありました。家と職場の往復、行動も制限もされていましたよね。特に福祉の仕事ということもあったので、職場の若いスタッフにも外との接触をできるだけ控えるようにお願いしていました。福祉は本来、人と関わっていく仕事であるにもかかわらず、関わってはいけない、それが非常につらいことだと感じていました。『やっぱり人とつながることは大切にしたいね』周りの人たちと話し、それがテーマのひとつになりました。
自分の中の課題として、福祉を目指す人を増やしていくこと、人とのつながりを大事にしたいこと、それらのベクトルの中で『市民活動』というやり方があるのだと気付きました。今まで自分の所属しているところからものを見ていたけれども、一市民としてまちを見たときにどういうふうに見えるのか、やってみようということで始めました。
一市民として見たとき、ギャップはありましたか?
―丸畑さん
ありました。角度が違うと見えるものが違いますね。一市民としてみると、実はたくさんの人がこのまちを作るために協力し合って、一人一人の方々が思いを持って支えていることがよくわかりました。
友達や職場っていう組織だけでは完結できないものがあり、社会とのつながりの中で存在していくことに気付きました。
多くのひととのつながり、かかわる
そして活動がスタートしましたが、MANMAREさんは仲間をどのように集めましたか?
―丸畑さん
初めの活動登録は個人で、次の年度の申請更新をするタイミングで団体登録をしました。スタート時点で5人の仲間に一緒に立ち上げを手伝ってもらい、それから私たちの思いに賛同してくれる方が20人くらいに増えて、MANMAREという団体になりました。
立ち上げに協力してくれたのは、自分が今まで関わってきた人や長年お世話になっている人たちです。一部の方は仲間たちの紹介で初めてお会いする人もいましたが、全体の8割ぐらいは一緒に活動をしてきた仲間でした。
どのような活動を行っていますか?
―丸畑さん
初めのイベントは、2023年5月、パン屋ゆうぱんの店主 平尾祐さんを招いてトークイベント「まちのパン屋さん×ふくし」を開催しました。
ゆうぱんさんには、サンドイッチが大好きでパンを買いによく伺っていました。ご主人がいつもお店の方を向いてパン作りをしていて、おそらくパンを買いにくる人たちの様子を見ているのだろうなと思っていて、話したことはありませんでしたがご主人の人の好さやパンを買いにくる人に対しての思い、パンを作ることにも相当こだわっているのだろうなと考えていて。そこで、福祉とパン屋というテーマがどういう風に交わるかわかりませんが、少し話を聞かせてもらえませんか?と平尾さんに声を掛けました。
斬新な切り口ですね。
―丸畑さん
福祉というテーマを、福祉の関係者だけが話をしても発展はないだろうと立ち上げのときから考えていました。できるだけ民間企業や違う分野の方が仲間に加わることにより「福祉」というテーマの膨らみや広がりができるのではないかと思いました。
最初のイベントから、トークイベントや展示、マルタス以外でも様々な活動をされていますね。すごく前向きにいろいろなことに取り組まれているイメージがあります。
―丸畑さん
私たちが「こんなことをしたい」と思うことが皆さんの想像を超えているところがあって、それをどうしたら実現できるかをマルタスのスタッフさんと話しながら考えています。「これはできないけど、こういう方法がある」などと提案いただくこともありますし、イベント時には本当に素敵な写真撮ってくれて、すごくサポートいただいていると思います。
活動する中で、変化や広がりを感じることはありますか?
―丸畑さん
予想できなかった部分としては他の活動者さんとの繋がりがあります。いろいろな団体さんが声を掛けてくれて、どういう活動をしているのか情報交換をしたり、実際にイベントに参加してくれたり。私も他の市民団体さんのイベントに顔を出させてもらうことやマルタスで知り合ったことがきっかけでコミュニティのお手伝いをする機会もあります。
福祉関係者が集まってくるというのは思い描いていましたが、全然違うテーマで市民活動をされている人たちともつながって、広がっていくというおもしろさがあります。
また、先週は久しぶりに高校生が定例会議にやって来て、進路が決まったという報告をしてくれました。彼女は、学校の部活動を一生懸命取り組みながら高校生ボランティア部にも所属して、丸亀大文化祭の実行委員にもなっていました。そんな中、MANMAREも気に入ってずっと来てくれていて、受験で活動をセーブしていたのですが、進路が決まったからとまた卒業までは活動をしたいと言ってくれました。それがすごく嬉しい瞬間でしたね。
福祉の未来は明るいですね。
―丸畑さん
分野として、福祉は大事だと思っていますし、そのテーマにたくさんの人が関心を持ってほしいと思っています。でも、みんながみんな福祉の仕事に就いてほしいとは思いません。若いときにたくさん経験をして、それぞれの分野で自分が専門性を活かせること、自分の得意なことや好きなことがあるならば、それを一生懸命目指してほしいです。しかし、どの分野のどの仕事に就くにしても「福祉の視点」というのはこれから求められると思うので、そういう思いを持って成長してほしいですね。
これからの活動を考える
活動の先に目指す姿はありますか?
―丸畑さん
そこが描ききれない部分ではあります。でも、それが大事だと思っていて、毎年同じタイミングで同じ内容のイベントをするのではなくて、そのときどきに必要なことができたらいいと思います。私たちの団体は立ち上げて間もないこともあり、行っていることは事業ではなくて機能だと思っています。プラットフォーム的な役割があるとすれば、なにかをやりたいという人たちが頑張れる場所が作れて、おもしろそうだと集まった人たちの思いがいい方向に進んでいったらいいかなと思っています。
例えば、直近では、小学5年生が企画した「丸亀城で鬼ごっこ」というイベントを行いました。参加した方からは、いろいろな年齢層の人たちが集まること、子どもと会う機会がなかったので良かったと感想が聞かれました。人と人のつながりという部分で、今まで会えなかった人たちと会うきっかけが作れたのかなと思います。
こうやって「なんか楽しそうだな」という雰囲気のところに人が集まるし、そういうベクトルだからこそ、深刻な課題や地域の課題にみんなで取り組んでいけるのかなと思います。楽しみに来てもらうことも大事にしながら、その中にやはり「ふくし」というテーマ軸にしていきたいです。
これから市民活動を始められる方へメッセージをお願いします。
―丸畑さん
市民活動は、いわゆる非営利で利益を追求しない活動です。 そのため、何を自分たちの価値とするかっていうところがポイントになると思います。
また、活動をするにあたって一人きりでは寂しいです。一緒にする仲間がいれば楽しいですし、わからないことを聞ける場所があるということはすごくありがたく、マルタスという素晴らしい環境を使わせていただけることが、私はすごく嬉しいです。
自分がしてみたいと思うことを周りの人と一緒に頑張ってチャレンジしていただけたらいいと思います。
そういう人が増えていくとまた仲間が広がっていくので、それもまたいいなと思います。