レポート

Report

【Expanding story ~まるがめの市民活動~】保育士や福祉に関わる皆さんに笑顔を届ける。特定非営利活動法人くれよんきっず

マルタスでは、市民活動登録を行う皆さんに、活動に対する思いやこれからのことなどをインタビューしています。
皆さんが行う「市民活動」とは何なのか?活動に対する「思い」とは?
それぞれの活動のスタート、これまで、そしてこれからをお伺いしています。

ぜひ皆さんの活動や思い、踏み出した一歩をご覧ください。

今回は、「特定非営利活動法人くれよんきっず」を取材しました。

2023年4月、現役からOGまで、保育士有資格者で結成された「特定非営利活動法人くれよんきっず」。現場で働く保育士や福祉施設で働く皆さんや地域の子どもたち、保護者に笑顔で楽しく過ごせる時間を提供したいと活動を行っています。

今回、理事長の櫻井壽美さんと、一緒に立ち上げから活動をしている副理事長の山本由子さんにお話しを伺いました。



「保育士や福祉施設で働く皆さん」を支援したい

特定非営利活動法人くれよんきっずは、もともと保育士として働いていた皆さんや現役の保育士の皆さんで結成された団体です。保育士として働く経験があるからこそわかる保育現場の実態があります。日々、子どもと向き合い、保育士として働いてきた経験を活かしたいとの思いから活動を始めました。

―櫻井さん
保育士が子どもに暴言を吐いた、なんていう悲しいニュースを見ることもあります。もちろん、何があったって子どもに対して暴言を吐くことや暴力をふるうことは許されません。でも、裏の裏の裏には、やっぱり保育士の過酷な仕事の環境なども関係しているのではないかなと考えてしまうのです。私たちは、長年現場にいたからわかることがたくさんあります。多くの保育士が感じる悩み、若い保育士さんがこの仕事のすばらしさをわからないままに辞めてしまう・・・そんな場面を見て、「私たちにできることはないか、何か少しでも手助けにならないか」という気持ちから市民活動の一歩を踏み出しました。



それからNPOの立ち上げに至ったのですね。

―櫻井さん
そうです。ただ、スタートを切ったころがちょうどコロナ禍の真っ只中で。保育所や子ども園などでイベントを行いたいと思っていたのですが、なかなかそういったところに伺うことが難しいという時期でした。でもなにか活動をしたいという思いやNPOの立ち上げのこともあり、メンバーで集まって打ち合わせをする場所として、マルタスの貸会議室を利用するようになりました。そうしたら、スタッフの方に声を掛けていただいて。そこでマルタスが市民活動の施設であることを知りました。私たちの活動の趣旨や誰に向けた支援なのか、そんなことを担当の方が熱心に聞いてくださって、NPO法人を立ち上げたあと、マルタスでの市民活動登録に至りました。

楽しみながら活動を行う

マルタスではどのような活動をされていますか?

―櫻井さん
2023年8月に初めてイベントを行いました。イベントでは、影絵や手遊び、ワークショップなど子どもたちに楽しんでもらえるような内容を考えています。また、チラシを置かせていただいています。チラシや、マルタスでの活動を見て、マルタス以外で行うイベントの機会につながることもありました。




活動が広がっているのですね。

―櫻井さん
そうです!イベントに保育の関係者の方が来てくださって、うちの施設でもしてほしいとお声掛けいただくことが何度かありました。マルタスでのイベントも、リピーターさんも増えて、イベント終わりに「次も絶対来ます」と声を掛けてもらうこともあってとても嬉しいです。

活動のこだわりはありますか?

―櫻井さん
イベントを行ったあと、「カラフルな影絵をはじめてみた」という感想をもらうことも多いです。今は動画で簡単にイラストを動かすこともできますが、あえてアナログなのが私たちの良さだと思っています。CDを使わず、キーボードで音を出すこと、生歌なので声が裏返ることもありますし、歌詞を間違えることもあります。でもそれが『人』が演じる温かさなのだと思います。
たくさんイベントを行っていますが、今日のイベントだめだったなということは一度もありません。反省点があっても、「今日も良かったね、みんな楽しかったね」と言って終わっています。




イベントを見せていただくこともあるのですが、参加者の皆さんがとても楽しそうなことはもちろん、演者の皆さんも楽しそうなのも印象的です。メンバーの皆さんはどのように集まったのですか?

―櫻井さん
ありがとうございます。メンバーは、今まで一緒に働いてきた方に声を掛けて集めました。制作物を準備する段階から、みんなそれぞれ手が早いですし、イベント時にしてもその時々に臨機応変に対応ができます。これは、保育の現場での経験が活きているのだと思います。また、楽しいことをするのに、自分たちが楽しくないと気持ちが伝わらないと思っています。これはイベントのときの上辺だけの楽しさだけではなくて、日々の活動の楽しさもあるのだと思います。ああでもない、こうでもないとバカな話もしながら制作物を作ったり、悩みも相談したり、メンバー同士でたくさんコミュニケーションをとってきました。本当に個々に尊敬できるみんなが集まっています。私一人では何もできなかったと思うので、みんながいてくれて良かったです。

―山本さん
職場でもそれぞれのコミュニティでも、人間関係って大事ですよね。そういう意味では、煩わしいような人間関係はありません。尊敬できる気持ちをお互いに持つということは大事だなと思います。



市民活動を広げるには

市民活動をしていると様々な課題にぶつかることもあると思いますが、どのように解決していますか。

―櫻井さん
NPOを立ち上げて、この年になってこんなことまでしないといけないのかと思うことが多いです。広報、経理、制作、イベント…とにかくしないといけないこと、新しくチャレンジしないといけないことがたくさんあります。
そんな中、マルタスで行われる交流会でSNSについて学んだり、県が主催するNPOの会計相談窓口に参加したりしてきました。特に私たちは活動する場所について悩んでいたので、活動場所としてマルタスがあって良かったと思います。イベントができること以外にも、チラシを置いておけること、メディアへプレスリリースという方法があること、いろいろなことを教えてもらいました。また、マルタスで活動するほかの活動者さんともつながることができました。
めざす活動としてはまだまだですが、それでも一歩ずつそこへ近づいていけるのはこの場所のおかげかなと思います。私一人ではなにもできなかったので思うので、みんながいてくれて良かったと思います。

活動をより広げるために考えていることはありますか。

―櫻井さん
今は、完全なボランティアの活動で、無料だということでイベントに来てもらえたり、依頼していただけたりしているところもあると思います。しかし、今後も活動を続けるには、資金も必要なので、有料化なども考えていかないといけないのかなと考えています。また、私たちは自分たちの活動を知ってほしいという思いがあります。そんな思いに賛同してくださる企業さんなどを探し、協賛していただけるような仕組みも考えていきたいです。
10月に行われた日本郵便の助成金活用セミナーにも参加しました。今年は設立の関係で助成金の対象にはならなかったのですが、来年はチャレンジしたいと思っています。こういった助成金もうまく使って、活動を継続していけるようにしたいと思っています。



これからの活動

NPOを立ち上げ、マルタスで市民活動を行うようになって1年が過ぎました。これからの目標を教えてください。

―櫻井さん
一番の目標は、支援センターを作ることです。私たちが作った支援センターで影絵などを上映しながら、出張依頼があったらそちらで披露する。そういったことができる場所ができたら嬉しいです。ただ、年齢的にも体力的にも焦る部分があって、自分にはもうあまり時間はないと思っています。でも、私がいなくなっても、山本さんが引き継いで、山本さんがいなくなってもメンバーのだれかがこの思いを引き継いでいく、そんな風に活動がどんどん続いていくことが今の一番の夢です。『くれよんきっず』があたりまえにあって、地域に溶け込んでいるような団体になれると嬉しいです。そのために、今はたくさんの方に活動を見ていただけるように、地道に続けていきたいと思います。

新たに市民活動を始める皆さんにメッセージをお願いします。

―櫻井さん、山本さん
年齢は関係なく、「何かをしたい」という思いが大切です。自分がしたいという気持ちと仲間がいれば一歩を踏み出すことができます。また、自分の活動を言葉に発することで夢に近づきます。何かしたいことがあるのならば勇気をもって踏み出してほしいです。自分たちは仲間がいなければここまでこられなかったので、出会った人は大切にしてほしいです。