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さあ、島に行こう!島の魅力・楽しみ方を徹底解説!2021.7.24(土)

マルタスでは、日ごろ見慣れているまちや慣れ親しんだ風景、「ヒト・モノ・コト」を、いつもとは違う視点でみることの面白さを企画や展示を通して伝えるプロジェクトを行うこととなりました。
記念すべき第1回目は、丸亀の「島」に着目します。
丸亀市には、「広島」、「本島」、「手島」、「牛島」、「小手島」の5つの有人島があります。
丸亀から海に浮かぶ島を眺めることはあっても、実際に島に行ったことのある方は少ないのではないでしょうか。
そんな丸亀の“島の魅力”を掘り下げる企画として、マルタスでは7月から島に着目したさまざまなイベントが開催されています。
7月18日から31日まで開催された「丸亀の離島を知る~讃岐広島・手島 編~」というPOPUPの一環として、7月24日(土)、「さあ!島に行こう!島の魅力・楽しみ方を徹底解説!」というトークショーが行われ、広島のガイドやPRを行う、青木石材協同組合の筒井政人参事に広島の魅力を紹介していただきました。



青木石の歴史を知る

丸亀の沖合約12.5kmの海上に浮かび、丸亀の島の中で最大の面積を誇る「広島」。丸亀港から船で約20分。徳川幕府が大阪城を再建するときに広島の「青木石(あおきいし)」が使われたという歴史のある石の島です。そんな広島の特産物のひとつである「青木石」について学びます。
―筒井さん
広島で採れる石は「青木石」と呼ばれる花崗岩で、今は主に墓石や埋立材として採石されています。特長は、石全体に粘り気があり、加工がしやすく持ちがいいということです。歴史は古く、戦国時代。徳川家が大阪城を改築城した時に、青木石を使ったことが始まりと言われています。大阪城の石垣は一層の高さが約32mあり、日本一を誇ります。そのために、瀬戸内海の小豆島、北木島、広島、本島からたくさんの石が運ばれました。どうやって運んだと思いますか?ここで活躍したのが「塩飽(しわく)水軍」です。備讃諸島の地形や水の中の地形を熟知している彼らは、海運を利用し、瀬戸内海から大阪へと石を運びました。当時は、近畿地方の生駒や六甲などからも人力で石を運んでいたようですが、いたるとこでソリから石が転げ、「残念石」と呼ばれる石が今でも残っているそうで、陸から運ぶよりも海から運ぶ方がある程度楽に運ぶことができたようです。この活躍で、塩飽水軍には朱印状が発給されるなど、かなりの地位が認められました。ここから、広島の石の文化も根付いていきました。



さぬき広島の魅力①~尾上邸~

「日本遺産」をご存じでしょうか。地域の歴史的背景や特色を通じて、日本の文化・伝統を語る“ストーリー”を文化庁が認定するもので、岡山県笹岡市、香川県丸亀市、土庄町、小豆島町が共同で申請していた、「知ってる?!悠久の時が流れる石の島~海を越え、日本の礎を築いた せとうち備讃諸島~」というストーリーが、2019年に「日本遺産」に登録されました。この日本遺産の「構成文化財」に登録されたスポットが広島にもあります。その一つが、「尾上邸(おのえてい)」。江戸時代に廻船問屋として栄えた尾上家の邸宅で、青木石を使った約4.5mの石垣の上に立つ屋敷は壮観です。
―筒井さん
尾上邸は、約200年前の建物で、石垣は丸亀城を模して造られていて、扇の勾配状に石を積み上げる江戸時代の技法が使われています。現在は、クラウドファンディングなどを募り、島暮らしを体験できる宿としてリノベーションされ利用されています。ここでは甲冑などの江戸時代のお宝も発掘されていて、出てきたものの一部を室内に展示しています。また、尾上邸は港から歩いて30分くらいの場所にあり、瀬戸大橋、讃岐富士、青ノ山、五色台、金毘羅さんなどの山々や天気が良ければ剣山も見えるので、その景色を楽しみながら歩いてみてほしいですね。宿泊のほかにも、島のお母さんたちと一緒にかまどでご飯を炊く体験や釣り・農業体験など、島暮らしを感じられるプランもあるので、尾上邸に宿泊してさまざまな体験をしてほしいです。



さぬき広島の魅力②~日本遺産の構成文化財~

広島には尾上邸の他にも、「石の里資料館」にある収蔵資料や、「心経山(しんぎょうざん)」、「王頭山(おうとうざん)」、「波節岩灯標(はぶしいわとうひょう)」、その灯標用油の貯蔵庫として活用された「石蔵(波節岩灯標脂油庫)」の5つの構成文化財があります。
―筒井さん
「石の里資料館」は、廃校となった小学校を改装してできた資料館で、昔と今の石を採る道具の展示や昔の人々の暮らし方を学べる場所となっています。
今から約150年前に建てられた灯台は、日本灯台100選の1つに選ばれていて、その灯標用の油の貯蔵庫として活用されていた「石蔵」は、青木石の外壁が使われています。
心経山の祠の裏上部には石塊があります。今後、山道は整備されると思うので、祠までは安全に登れると思いますが、石塊のところはガイドを付けてほしいと思います。山頂からの景色は素晴らしいですよ。秋の景色が特に良く、天気が良ければ今治まで見渡すことができます。祠には空海を祀り、霊場となっているのでご訪問の際は必ずお参りをしてください。
王頭山は、塩飽諸島の最高峰ですが、上り1時間と下り30分、約2時間あれば堪能でき、瀬戸内海の多島美はもちろんのこと、四国方面、本州方面まで見ることができます。
構成文化財はどれも見てほしいなと思います。全部見てもらうには1日では難しいので、ぜひ広島に宿泊していただきたいです。



さぬき広島の魅力③~豊かな自然~

広島には、日本遺産のスポット以外にも美しい自然や風景を見ることができ、さまざまな魅力が詰まっています。
―筒井さん
春は、桜のトンネルがとてもきれいです。桜の老木が続いた道ですが、あまり人が通る道ではないので、路面もピンク色に染まります。4月頭ぐらいが見頃ですね。
園の州(そののす)は、本島と広島の間にある大陸で大潮の干潮時に現れます。昔は潮干狩りで大勢の人が来ていましたが、今は貝が減ってしまったので、あまり人が来ない隠れたスポットです。今なら、珍しい貝が取れるかもしれません。ここに訪れる体験ツアーもありますよ。
あと夕日がとてもきれいです。瀬戸内海に太陽が沈んでいるように見えるんですよ。ダルマ夕日は瀬戸内海では見られないと言われていますが、私は見たことがあります。私の目が悪いかもしれませんが(笑)
豪華客船の飛鳥Ⅱを見ることもありました。ホテルのような大きなフェリーが瀬戸内海を通っているんです。タイミング良ければそんな景色を見ることもできます。




青木石の魅力を間近に感じる

大阪城の石垣に使われた青木石。現在も広島の特産品として、筒井さんは青木石の魅力を発信しています。
―筒井さん
青木石の採石場を一度見てもらうとわかるんですがとても壮大なスケールです。本来は採石法という法律で縛られており、簡単に入ることができないところですが、日本遺産になったことで一般の方からも「見たい」という声が上がり、ご予約していただいた方をご案内させていただいています。こちらも事前予約が必要ですが、タイミングが良ければ石を割る体験をすることもできます。この壮大さは実際に見てもらうことで伝わると思うので、ぜひ見てほしいです。
また、日本一の石垣の名城として有名な丸亀城の「お城まつり」では、子どもたち4~6人くらいに大きな石臼をぐるぐる回してもらう、「石臼コーヒー体験」などを行っています。コロナの前は高松や東京でもPRの場を設けていました。これからもたくさんの人に青木石について知っていただけるよう、アピールも続けていきたいですね。


島にはたくさんの魅力が

―筒井さん
これは私の考えですが、「江の浦」という広島でフェリーが着く港に、現在は使われていない元丸亀市の市民センターがあるんです。そこをうまく使い、島の魅力を伝える場所として、観光に来た人や島の人が集い、一緒に楽しめるふれあいの場にできたらいいなと思います。そんな場所がもしできたら、今回、POPUPで出品している島の野菜や陶芸家の作品などを並べたりして、そこから観光だけでなく、「島に何かモノを買い行くためにフェリーに乗る」、そんな夢みたいな話が実現したらいいなと思います。丸亀にある「広島」。これを「さぬき広島」と呼んでもらい、ぜひ、市民の皆さんから率先して遊びに来てほしいです。丸亀の一部ということを意識して、島の人たちと楽しんでほしいなと思います。ぜひお越しください。



【編集部より】広島には素敵なスポットがたくさんあることを知ることができ、遊びに行きたくなった方もいるのでは?新型コロナウイルス感染症が落ち着いたときには、ぜひ実際に足を運び、自分なりの”広島の魅力”を探してみてください。筒井さんに案内してもらうこともおすすめですよ!