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【Expanding story ~まるがめの市民活動~】「好きだから、頑張っているという感覚はない」星を通して広がる、人とのつながり。星のソムリエ松野

マルタスでは、市民活動登録をしている皆さんに、活動への思いやこれからのことなどをインタビューしています。

皆さんが行う「市民活動」とは何なのか。活動に対する「思い」とは。
それぞれの活動のスタートから、これまで、そしてこれからについてお話を伺います。
今回は、「星のソムリエ松野」として活動する松野俊博さんにお話を伺いました。

松野さんは、宇宙や夜空を眺める魅力を広め、地域の子どもたちの好奇心を育てることを目的に、マルタスで月1回の宇宙プレゼンテーションを行うほか、生涯学習センターなどで天体観測会を開催しています。

活動のきっかけ

星を好きになったきっかけを教えてください。

星を好きになったきっかけは、小学2年生の頃です。藤井旭さんの著書『星になったチロ』が学校で流行っていて、私も読んだことをきっかけに星に興味を持ちました。
その頃はハレー彗星が接近するなど、世間で話題になる天文現象もあり、星を見ることがどんどん好きになっていきました。
ただ、思春期になるとほかのことに興味を持つようになり、星からは少し離れていました。
再び星に興味を持つようになったのは、娘が5歳になった頃です。あるとき娘が「星がきれいだね」と言ったので、「それならお父さんと一緒に天文台に行こうか」と。それをきっかけに、私の星熱も再開しました。

それが16年前の話です。
そこから天文台などに通うようになり、「星空案内人(星のソムリエ®)」という資格があることを知りました。もともと星のことを人に話すのが好きで、そういうことをしたいと思っていたので、資格を取得しました。
現在、香川県には「星のソムリエ®」が3人います。

マルタスで活動を始めるまではどのような流れですか?

以前は「善通寺天文クラブ」というところに入り、月2回の天体観測会に参加していました。そこに来ている方と話をしたり、勉強したりしながら、少しずつ知識を増やしていきました。
マルタスができた1年目は、自分にできるかどうか自信がなく、しばらく様子を見ていました。2年目に市民活動登録をして、マルタスでイベントを行うようになりました。

なぜ市民活動登録をしたのですか?

個人では広報する力が足りないと思ったからです。一人の力だけでは難しかったので、場所の力を借りたいと思いました。
また、当時、生涯学習センターには大きな望遠鏡があり、それをみんなに見てほしいと思っていました。
ですので、生涯学習センターがあった頃は、マルタスでのイベントの後に、生涯学習センターで天体観測会を行っていました。



マルタスと生涯学習センターでの活動はどのように?

マルタスのイベントで星について話をした後、生涯学習センターへ移動して天体観測をするという流れです。
時間に少し空きがあったので、両方に参加するのは難しかったと思いますが、近所の方など、そのまま参加してくれる人もいました。参加者がそれほど多くないときは、ゆっくりと楽しんでもらえるのもいいところですね。
何度もイベントを開催するうちに少しずつ認知度が上がり、生涯学習センターが取り壊される前に行ったイベントには約160人の方が来てくれました。
実はその望遠鏡は「西村製屈折望遠鏡」という珍しい望遠鏡で、全国で3台しか現存が確認されていないうちの1台です。
望遠鏡が好きな人でも、なかなか知らないような望遠鏡を丸亀市が持っていたというのは、すごいことですよね。

マルタス以外の活動についても教えてください。

私は綾歌地区に住んでいるので、第1土曜日には地元の天文家の方に誘っていただき、一緒に天体観測会をしています。綾歌市民総合センターの駐車場で行っており、基本的には地元の方が多いですが、国道32号線沿いということもあって、意外と遠いところから来てくれる方もいます。
第2土曜日にはまんのう公園のキャンプ場、第3土曜日には蓬莱学園の天文台を使って天体観測会をしています。
蓬莱学園は学校ですが一般開放されていて、20時まで使用できます。ただ、夏の間は星があまり見えないこともあるので、プラネタリウムを使わせてもらい、解説を行うこともあります。
三豊や塩江などでお話をさせてもらうこともありますし、ありがたいことに企業さんから声をかけていただくこともあります。


塩江の行われた「ほしぞら縁日」の一コマ


子どもたちが興味深そうに望遠鏡をのぞく


活動を広げるために大切にしていること

活動はどのようにアピールしていますか?

基本的には、SNSと名刺です。
デジタルとアナログ、両方を扱うことが大事だと思っています。
マルタスでの活動を通して、活動の広がりを感じることもあります。まず、継続しやすいということ。天候にも左右されませんし、「マルタス」という場所自体が目立つので、説明もしやすいです。
継続して参加してくれる方がいるのはもちろんですが、常に新しい方が来てくれることも強みだと思います。
私の名前をネットで検索すると、一番上にマルタスが出てくるんです。圧倒的に見られているのはここだと思うので、ありがたいなと思っています。

幅広い世代に「星」を届ける

参加者はどのような年代の方が多いですか?

マルタスのイベントには、近所のお年を召した方が多いですね。お子さんと一緒に来てくれる方もいます。イベント自体は、基本的には全年齢を対象にしていて、その日の参加者の年齢層に合わせて話す内容を変えるようにしています。
難しい話をしてもわかりにくいですし、過去に途中で寝てしまった方もいたので、寝られないように話をしています(笑)。
また、少し前まではプロジェクターを使っていましたが、今はテレビモニターを使うようになりました。天の川などもきれいに映るようになったので、良かったと思います。



活動を続ける中で感じる課題はありますか。

意外と、課題に思っていることはないんです。
私もそこまで贅沢は言いませんが、たくさんの人に来てほしいという思いはあります。
でも、マルタスでのイベントには継続的に人が来てくれているので、すごく満足しています。
これまでに困ったことがあるとすれば、やっぱり広報面ですね。
天体観測会を予定しても、誰も来なかったことがあります。満濃池の土手のほとりに望遠鏡を置いて、天の川の解説をしたり、散歩したりするイベントだったのですが、誰も来なくて。暗い中、一人でいるとめちゃくちゃ怖かったです(笑)

今後について

これから目指していることや目標があれば教えてください。

競い合うことでもないですし、できる限り、みんなが楽しめる環境をつくっていけたらいいなと思っています。
以前から考えているけれど、まだ実行できていないことがあります。
例えば秋祭りなどのイベントの片隅に、夕方くらいから望遠鏡を置いておく、といったことができたらいいなと思っています。
ただ、たぶん体が足りなくて(笑)。
星のソムリエ®が香川県にもっと増えたら、協力してできるんじゃないかなと思います。
「みんなと一緒に星を見たい」
多くの方に星の魅力を伝えるというより、みんなと一緒に星を見たい、という気持ちがあります。仲間を増やして、「星のことでわからないことがあれば、私が話すよ」というスタイルをこれからも続けていきたいと思っています。

最近は、子どもたちがYouTubeなどを見て勉強してくることもあります。宇宙についてマニアックな内容になると、私の知識を上回っていることもあります。
それには負けないように、私もYouTubeで勉強しています(笑)。
好きなことの勉強なので、それ自体が趣味ですし、苦痛ではありません。



今は娘さんと星を見ることはありますか?

ないです(笑)
でも、息子が高校生になって物理を学び始めて、私が以前話していたことの意味がわかることもあるみたいです。
星そのものに興味を持ったわけではなく、物理を学ぶ中で「星の話っておもしろいな」と思ってくれたみたいです。
というのも、何もかも宇宙が関係してくるんです。
私は歴史や社会が苦手中の苦手でしたが、「宇宙」でくくると、遣隋使や遣唐使、その頃の藤原氏など、そんな話も出てくるんです。
「今届いている星の光が、藤原氏が活躍していた頃の光なんですよ」と話すと、何かイメージしやすくなって、だんだん歴史も面白くなってくるんですよね。

新しく活動を始める人へ

これから新しく活動を始めたい皆さんに、メッセージをお願いします。

「まずはやってみて」と思います。
やってみて、ダメだったら変えたらいいだけなので。そんなに大きな失敗はないと思うので、まずはやってみることかなと思います。
マルタスには助けてくれる人もたくさんいますし、まずはやってみてほしいです。
もしよかったら、ほかの方の活動を見てみるのもいいと思います。
市民活動で大事なことは、僕は「人に会うこと」だと思っています。
僕自身、人見知りで人と話すことが苦手でした。でも、自分が好きなことを話すから、だんだんと人と話すことが楽しくなってきたんです。初めてイベントを開催したときなどは、とても緊張していました。でも、今は人前で話すことも気にせず、楽しみながら運営できています。
いろいろな人と会ってきたから慣れてきた、というのが大きいです。
いろんな人の話を聞いて、考えを聞くこと。人によって考え方は全然違うからこそ、人と会うことを恐れないことが大事だと思います。
好きだから、あまり「頑張っている」という感覚もありません。
勇気は必要でした。でも、自分がしたいことをしているだけなんです。